流動性プロバイダーは、流動性を集中させることで、リスクにさらす資本を大幅に減らしながら、指定した価格帯でv2と同等の深い流動性を提供することができます。節約できた資本は、外部に保有したり、別の資産に投資したり、DeFiの別の場所に預けたり、指定した価格帯のエクスポージャーを増やしてより多くの取引手数料を得るために使用できます。
例、
アリスとボブの二人は、ユニスワップv3のETH/DAIプールで流動性を提供したいと考えています。二人はそれぞれ100万ドルを持っています。ETHの現在の価格は1,500 DAI(=1,500ドル)です。
アリスは、(ユニスワップv2の時のように)全価格帯に資金を投入することにしました。アリスは500,000 DAIと333.33 ETH(合計100万ドル相当)を預けます。
ボブは、1,000から2,250までの価格帯でのみ預け入れることで集中的なポジションを作ります。ボブは91,751 DAIと61.17 ETHを預け入れ、合計で約18.35万ドルとなりました。残りの81.65万ドルは自分で保管し、好きなように投資します。
アリスはボブの5.44倍の資金を投入していますが、ETH/DAIの価格が1,000~2,250円の範囲内であれば、同額の手数料を得ることができます。
ボブの集中化されたポジションは、流動性に対する一種のストップロスとしても機能します。ETHの価格が0ドルになった場合、アリスとボブの流動性提供の配分は二人ともすべてがETH建てになります。しかし、アリスが100万ドルを失ったのに対し、ボブは15.9万ドルを失ったに過ぎません。ボブは追加の81.65万ドルをダウンサイド・エクスポージャーのヘッジに使ったり、考えられる他の戦略に投資することができます。
v3の流動性プロバイダーは、少ない資本でv2の流動性プロバイダーと同等の流動性の厚みを提供することもできますが、同額の資本でv2の流動性プロバイダーよりも深い流動性を提供することも可能です。(100万ドルすべてをその価格帯に配分する)
この場合、より多くの価格リスク(インパーマネントロス)を負う一方で、より多くの取引をサポートし、さらに高い手数料を得られることになります。
より安定したプールの流動性プロバイダーは、特に狭いレンジで流動性を提供することになるでしょう。もし、現在ユニスワップv2のDAI/USDCペアに保有されている2500万ドルをv3の0.99~1.01のレンジ内に集中して預け入れた場合、価格がその範囲内にある限り、ユニスワップv2の50億ドル分と同じ流動性の厚みを提供することになります。もし、2500万ドルが0.999 – 1.001のレンジ内に集中して預け入れた場合、ユニスワップv2の500億ドル分と同じ流動性の厚みを提供することになります。
ローンチ当初は、0.10%内の価格帯で流動性を提供する流動性プロバイダーの資本効率の向上は最大で4000倍となります。v3のプール機能は、技術的には0.02%という細かなレンジにも対応可能で、v2と比較して最大2万倍の資本効率向上が期待できます。
ただし、プールの粒度を上げるとスワップするためのガスのコストが増加するため、その場合はレイヤー2での利用が有効となるでしょう。
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BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第596話からのターン。バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきます。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。