暗号資産市場は2017年初期に急速に成長し始め、2024年までに成熟期を迎えました。この期間で、価格や採用状況、技術革新、規制環境に大きな変化が見られます。それでは、2017年初期と2024年の主な暗号資産を比較してみましょう。
- ビットコイン (BTC)
2017年初期のビットコインの価格は約1,000ドルで、主に個人投資家が取引していました。当時はまだ「暗号資産」という概念が一般的に広がっておらず、「新しい金融資産」として注目され始めた段階でした。しかし、規制が未整備で価格の乱高下が顕著という課題を抱えていました。それから2024年にかけて、ビットコインは「デジタルゴールド」としての地位を確立し、ETFの承認や機関投資家の参入により、より安定した資産として認識されるようになりました。また、エルサルバドルなど一部の国では法定通貨として採用されるまでに進化を遂げています。
- イーサリアム (ETH)
2017年初期のイーサリアムの価格は約10ドルで、スマートコントラクトの基盤として注目され始めたばかりでした。しかし、DAO事件の影響でイーサリアムクラシックと分裂し、スケーラビリティや高額なガス代といった課題が早くも問題視されていました。その後、2024年までにイーサリアムは大きく進化し、イーサリアム2.0への移行が完了してProof of Stake (PoS) が導入されました。この結果、NFTやDeFiの中心的な役割を果たすプラットフォームとしてエコシステムが拡大し、さらなる成長を遂げています。
- リップルコイン (XRP)
2017年初期のリップル(XRP)は約0.006ドルで、銀行間送金を効率化するプロジェクトとして注目を集めていました。この時期には銀行との提携が始まり、国際送金市場でのユースケースが着実に拡大していました。その後、2024年にはSEC訴訟を一部クリアし、銀行間送金市場で引き続き利用される存在となりましたが、競合の増加によりプロジェクトの成長速度は減速しています。
- ライトコイン (LTC)
2017年初期のライトコイン(LTC)は約4ドルで取引されており、「ビットコインの軽量版」として、速い取引速度と低コストを特徴としていました。その後、2024年にはプライバシー強化機能(MWEB)の導入が行われ、競争が激化する中でも、一部で「デジタルシルバー」としての地位を維持しています。
5位以降
2017年初期のダッシュ(DASH)は約15ドルで取引されており、プライバシー志向のコインとして注目され、特にラテンアメリカで日常利用が広がり始めていました。しかし、2024年にはプライバシー機能を削減し、デジタル決済市場向けのユースケースを拡大する方向へ進化しています。
同じく2017年初期のネム(XEM)は約0.01ドルで、日本を中心に人気を博し、Symbolプロジェクトへの移行が準備されていました。2024年にはSymbolへの移行は完了したものの、エコシステムの拡大には苦戦しています。
イオタ(IOTA)は2017年初期に約0.40ドルで取引され、IoTデバイス向けプラットフォームとして注目を集め、Tangle技術が革新的と評価されていました。しかし2024年現在、実用化は進んだものの、大規模な採用事例は少なく、他のプロジェクトに追い上げられている状況です。
最後に、モネロ(XMR)は2017年初期に約12ドルで、強固なプライバシー機能により支持を集めていましたが、ダークウェブでの使用が多いことから批判も受けていました。2024年には、匿名性を重視するユーザー層に引き続き支持される一方で、規制強化の影響で取引所での取り扱いが減少しています。
その他のコイン
2017年初期、イーサリアムクラシック(ETC)は約1ドルで取引されており、イーサリアムの分裂後にその信念を象徴するコインとして支持を集めていました。しかし、2024年には価格が約15ドルまで上昇したものの、マイニングの選択肢として利用されるにとどまり、採用は限定的です。
ビットコインキャッシュ(BCH)は2017年初期にはまだ存在せず、同年8月にビットコインから分裂して誕生しました。2024年には約200ドルで取引されていますが、ユースケースが乏しく、影響力は縮小しています。
カルダノ(ADA)は2017年初期に約0.02ドルで取引され、スマートコントラクト実装の準備段階にありました。それから2024年にかけて大幅に成長し、エコシステムが拡大して価格は約0.30ドルに達しています。
また、テザー(USDT)は2017年初期にステーブルコインとして流通を開始し、2024年には時価総額トップのステーブルコインとしてDeFiで不可欠な存在となり、取引所やDeFiエコシステムで広く利用されています。
2017年初期は多くのプロジェクトがまだ構想段階であり、価格も低水準にありました。しかし2024年現在では、成熟したプロジェクトが市場で確固たる地位を築いています。一方で、新しい競争環境の中で淘汰されたプロジェクトもあり、この7年間の市場の進化が明確に反映されています。