近年、デジタル資産と実世界の資産(Real World Asset, RWA)を結びつけた新しい投資機会が注目を集めています。ブロックチェーン技術を活用することで、これまで流動性が低く、取引が困難だった実世界の資産をデジタル化し、金融市場でのトレードや投資を可能にする取り組みが活発化しています。この動きの中で、既存の枠組みに縛られない新しい事業の可能性が次々と開かれているのです。
RWAの今までの成果
RWAプロジェクトは、世界中で実際に商業的な成功を収めつつあります。例えば、個人や中小企業向けのローンや信用スコアをトークン化し、デジタルプラットフォームを通じて流通させるプロジェクトが登場しています。また、アートや音楽などの創作活動の価値をトークン化することにより、アーティスト自身がファンと直接取引しやすくなる環境も整ってきています。さらに、これまで投資対象として難しかった知的財産や特許などの非有形資産をデジタル化し、投資家が自由に取引できる機会が生まれつつあります。
金融商品としての可能性
こうしたRWAのデジタル化が金融商品としての発展を遂げれば、投資の幅はますます広がり、投資家にとっても、既存の金融機関にとっても魅力的な選択肢となります。従来の金融商品と異なり、デジタル化されたRWAは取引コストを大幅に削減し、取引の透明性も向上します。さらに、地域や規模を超えた投資が可能となり、個々の資産の価値も評価しやすくなるため、金融市場での適切なプライシングが期待できます。
また、将来的にRWAが規制の整備を進め、伝統的な金融商品に組み込まれた場合、新たな収益モデルが生まれる可能性があります。これは、金融機関がRWAを担保として利用し、資金調達の選択肢を増やすことにもつながり、経済全体へのポジティブな影響が見込まれます。
金や不動産への言及
もちろん、RWAの代表的な例として金や不動産もありますが、専門性が高いため、私たちはあえてこれらにフォーカスしない方針です。代わりに、まだ十分に開拓されていない他の実世界の資産に注目し、新しい市場の創出を目指しています。
現時点から3年後の2027年には、RWAがさらに成熟し、今以上に多様な資産がデジタル化されている可能性があります。新興市場や未開拓な領域の資産もデジタル化され、個人投資家から機関投資家まで幅広い層が利用できるようになるでしょう。この時期には、RWAが具体的な収益モデルを築き、金融商品としての価値を高めつつある段階に達していると考えられます。さらに10年後には、RWAが既存の金融商品に匹敵する、またはそれを超える市場規模に成長する可能性もあるでしょう。これまでの金融の枠を超えて、デジタル化された資産が日常的に取引される時代が訪れ、ブロックチェーン技術の普及とともに金融業界に深く根を下ろすと考えています。従来の金融機関が新たな投資機会を求めてRWAの分野に進出することも増えると筆者は考えています。