DeFiのインパーマネントロス – 流動性を提供する際に生じるリスク
翻訳を試みています。(意味の取りにくいところは適宜調整)
本日の記事は、乖離性損失の項目からの後半部分です。
乖離性損失
手数料を含まない最も基本的な形として、「乖離性損失」は次の式で計算されます。
DL (Divergence Loss) = 乖離性損失
PR (Price Ratio) = 価格比
DL = [ ( 2 √ PR ) / (1 + PR) ] – 1
価格比は、ユーザーが流動性プールに投資した初期金額P1と、市場での現在の価格P2の比率です。(P1:100円からP2:110円に変動した際の比率)
PR = P2 / P1
dl = [ ( 2 √ (p2 / p1) ) / (1 + (p2 / p1) ) ] – 1
まず、価格比を計算します。
PR = 110 / 100 = 1.1
価格比から価格の変動を得たので、乖離を計算してみましょう。
dl = -0.001134430314141
保有するのではなくプールに流動性を提供することで、ユーザーは-0.001134430314141、つまり流動性で-0.1134%の損失を被ることになります。
下のグラフを参照することで、次のように確認できます。
ETHの初期量(100)から価格が乖離すればするほど、ユーザーの一時的な損失が大きくなります。ETHの価格が400%上昇した場合、乖離性損失は流動性供給者にとって大きくなります。
例:
価格が100の時に損失はなく、0%である。
価格が200(100%上昇)のとき、-5.71%の乖離が発生。
価格が300(200%上昇)のとき、-13.33%の乖離が発生。
価格が400(300%上昇)のとき、-20%の乖離が発生。
価格が500(400%上昇)のとき、-25.46%の乖離が発生。
インパーマネントロスの解決策
市場価格の下落を防ぐ方法がないように、インパーマネントロスに対する絶対的な解決策はありません。これは、市場の動向によって左右されるため、誰にもコントロールできない事象です。市場の雰囲気やセンチメントが価格を決定することが多いので、誰もが十分な注意を払う必要があります。自動化されたマーケットメーカーの最大の問題点は、市場からの完全な情報が得られない場合、インパーマネントロスを防ぐための迅速な調整ができないことです。
これに対抗する一つの方法は、自動マーケットメーカーがオラクルを使って外部の市場と接続することです。オラクルが提供するのは、市場での活動に関する最新の情報です。自動マーケットメーカーはスマートコントラクトで実装されているので、オラクルに接続してデータを取得し、市場価格に合わせることができます。これにより、流動性プールのバランスに影響を与えるアービトラージの機会を防ぐことができるというメリットがあります。
※オラクルの説明はこちらです。
https://blockrabbit.s11dkoba.mixh.jp/crypto-3000_671_oracles_defi_blockchain/
Bancorは、オラクルに依存した無限のインパーマネントロスに対抗するため、独自のプロトコルを導入しました。Bancor V2では、プライスオラクルから来る外部価格に基づいて、自動的に重み付けを調整できるプールを使用しています。これにより、変動の激しい資産を持つプールであっても、無限のインパーマネントロスを軽減することができます。
インパーマネントロスを相殺するもう一つの方法は、流動性トークンとしてのステーブルコインです。ステーブルコインは、より安定した通貨バスケットにペッグされているので、ペッグと一対一の関係で安定する傾向があります。Curve Financeは、安定したプールを作ることでこれを実現しています。ステーブルコインを使うことで、リスクが低くなり、スリッページ(価格変動)も少なくなります。また、ステーブルコインは利回りの高い投資先としても注目されています。
インパーマネントロスについては、リスク管理が重要です。この問題を解決するために、より新しく、より革新的な自動マーケットメーカーの解決策がDeFi市場に導入され、インパーマネントロスを軽減するだけでなく、より高い利回りを達成することができるようになります。利回りが高いということは、それだけ乖離した損失にさらされているということでもあるので、開発者は常にこの問題に対処するための最善の方法を模索しています。
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第596話からのターン。バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきます。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。