クリプト訪ねて三千里:第1395話 米国と中国のクリプト戦争:デジタル通貨覇権をめぐる競争の行方と日本の立ち位置

序章: 新たなステージに入るクリプト競争

2024年、中国の上海裁判所が暗号資産の所有を合法であると確認しました。暗号資産に対する中国の政策姿勢に変化が起きる可能性が浮上しています。米国では暗号資産に対する規制緩和や法整備が進む兆候が見られ、両国間の「デジタル通貨覇権争い」がますます加速しています。中国と米国のクリプト戦略、デジタル経済における覇権争い、そしてその影響について深掘りしていきたいと思います。

中国の戦略:デジタル人民元とクリプトの二重アプローチ

中国はこれまで、暗号資産に対して厳しい規制を敷いてきましたが、今回の上海裁判所の判決は、大きな政策転換を示唆しています。背景には以下の要素が考えられます:

デジタル人民元 (CBDC)

中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元は、既に多くの実験段階を終え、国内外での採用が進んでいます。さらに、mBridgeプロジェクトを通じて、国際送金システムの効率化を目指しており、ドル依存を減らす狙いがあります。

  • 成果例: デジタル人民元は、クロスボーダー取引でのシェアを拡大し、人民元が国際的な準備通貨としての地位を高めています。
  • 目的: 米ドルの支配力を削ぐための戦略的なツールとして機能。

暗号資産との融合

デジタル人民元と異なり、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は中国で長らく禁止されてきました。しかし、上海裁判所の判決が示すように、所有権は認めるが取引規制は維持するという新しいスタンスが形成されつつあります。

米国の戦略:ドル支配を守るための「クリプト友好的」政策

米国は暗号資産分野での主導権を握るため、新たな取り組みを加速させています。特に、ドル基軸を守るための「ドルバック型ステーブルコイン」が重要な役割を果たしています。

ステーブルコイン: 米国の秘密兵器

ステーブルコイン(例: TetherやUSD Coin)は、米ドルに裏付けられた暗号資産で、グローバル市場におけるドルの存在感を強化するツールとして注目されています。

  • 影響力: ドルバック型ステーブルコインは、米国が直接介入しなくても、ドルの影響力を世界に浸透させる。
  • 事例: CircleやTetherは、新興市場や国際取引での使用が急増しており、これがドルの需要を支える要因となっています。

規制の方向性

米国のSEC委員長であるゲイリー・ゲンスラーの退任が噂される中、クリプトに友好的な規制への転換が期待されています。

  • 潜在的な政策変更:
    • ビットコイン戦略的準備金の採用
    • ステーブルコインに関する法整備
    • クリプト企業を支援する規制環境の整備

デジタル通貨覇権争い: 米中の思惑と競争

中国と米国が目指すのは、どちらがデジタル経済時代における主導権を握るかという点です。

中国の挑戦: 「脱ドル化」

中国は、デジタル人民元の普及や、暗号資産の部分的な合法化を通じて、ドル依存からの脱却を目指しています。しかし、課題も多いです。

  • リスク: 暗号資産の合法化が進むと、富の海外流出が加速する可能性。
  • 見通し: デジタル人民元が普及すれば、アジア市場を中心にドルに代わる選択肢となる可能性。

米国の防衛: 「ドル基軸の維持」

米国は、ドルの支配力を守るために、暗号資産技術を取り込みながら新たなルールメイキングに着手しています。

  • 強み: ステーブルコイン市場での優位性。
  • 課題: 規制の不確実性や、クリプト企業の海外流出。

デジタル通貨時代の覇権を握るのはどちらか?

米国と中国のクリプト戦略は異なりますが、いずれもデジタル通貨時代の覇権を目指しています。中国はデジタル人民元を軸に「脱ドル化」を進め、米国はステーブルコインを武器にドル支配を守ろうとしています。

今後の焦点は、以下に集まるでしょう:

  • 規制の進展: 各国の法整備が競争にどう影響を与えるか。
  • 技術革新: ブロックチェーン技術の進化がどのように通貨の覇権に影響するか。
  • 市場の反応: グローバル市場がどちらを支持するのか。

デジタル通貨の覇権争いは、単なる経済競争を超えて、国際政治や金融の未来を大きく左右する戦いとなっています。

 

日本の暗号資産における現状と課題

日本は、暗号資産分野で一定の規制整備が進んでいる一方、米中のような積極的な戦略展開には遅れを取っています。特に、米国がドル基軸を維持するためのステーブルコイン戦略や、中国がデジタル人民元で脱ドル化を進める動きと比較すると、日本の取り組みは限定的です。金融庁を中心に暗号資産取引所のライセンス制度や投資家保護の枠組みが強化されているものの、革新的な政策や新しいプレイヤーを引きつける環境が不足しています。Web3の推進を掲げる政府の動きも、規制の厳格さや税制の改善が進まないため、効果を十分に発揮していない状況です。

 

日本が取るべき方向性

日本がこの競争で存在感を高めるには、次の3点が重要です。

  1. 規制と革新のバランス: 投資家保護を維持しつつ、スタートアップが参入しやすい柔軟な環境を整備する。
  2. 税制改革: 暗号資産取引の税率を引き下げ、海外への技術流出を防止する。
  3. グローバル連携: ステーブルコインの基準策定やCBDC実験で他国と連携し、国際競争力を向上させる。

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現在の実体経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。

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