何故ブロックチェーンが必要なのか? 〜第1回LITTLE MONSTER Meet- up in Japan !〜カメレポート

こんにちは!ブロックラビット編集部です。今日は先日ラビットレポート(速報)でお伝えしました、「第一回LITTLE MONSTER Meet- up in Japan!」の内容をご紹介します!

カメレポートとは、当日行われた議論の一部を取り上げ、Block Rabbit編集部が独自の見解と情報を盛り込んだ深堀レポートです。これから定期的に発信していきますので、どうぞよろしくお願いします!

 

 

今回の記事について

今回は、ブロックチェーンを実際に開発している方から、全くブロックチェーンを知らないという方まで巻き込んで一番盛り上がった「何故ブロックチェーンが必要なのか?」という議論に着目していきます。

界隈に在籍している身からすれば、この新技術で世の中をより便利に、より快適に暮らせるようになるのだという確信がありますが、知らない人からすれば、今でも十分便利なのに何故わざわざブロックチェーンを組み込まないといけないのか?という疑問が真っ先に浮かび上がります。(実際に今回のイベントで幾度もこの質問を耳にしました。)

海外が仮想通貨とブロックチェーンを切り離して、新技術の実用化に向けて議論を進めていく中、日本はその単純な問いを埋める場が少なく、まだ両者を混同している様子が見受けられます。

Block Rabbitは、日本全体の技術への姿勢、意識を底上げしていくために新技術の可能性を確信する人と、実社会(一般の方々、ユーザー)を結びつける、その折衷点に注力します。

したがって、今回の記事では現在どのような問題があって、それがブロックチェーンを使うとどう改善され、実際に私達の生活を便利にしていくのか、という部分を描いていきます。

 

まずはじめに

昨日参加してくださった皆様、会場をご提供していただいた株式会社Pasonaの関係者の皆様、そして今回のイベントの功労者であるAlpha Tokenの野入様、皆様のご支援なしに、開催には漕ぎ着けませんでした!誠にありがとうございました!

また、当日参加できなかった!という皆様は是非こちらのBlock Rabbitテレグラムから次回の情報を見逃さずに!

 

何故ブロックチェーンが必要なのか?

”ブロックチェーンって、どんな分野で実際に使えて、何故使わないといけないの?”

前半と後半で別れていた当日の勉強会ですが、後半のディスカッションはこの質問を皮切りに大白熱しました。

質問が出るやいなや、このブロックチェーン界隈に属する方から早速、”ヘルスケア”、”保険”、”HR”の分野で応用性があるとの主張が出ましたので、一つずつ丁寧に、その分野における現状の課題と、ブロックチェーンを使うことでどのように便利になるのか触れていければと思います。

 

ヘルスケア

ブロックチェーンはヘルスケアにおいて、患者さんのカルテ情報を保存するために適していると言われています。今の医療業界では、患者さんのカルテは病院ごとで独立して管理されており、互いに共有されていません。つまり、読者のみなさんが遠方で倒れた時、普段通っていない現地の病院では、あなたの症状を理解するのに時間がかかってしまいます。

これが一刻を争う状況だった時、生命に関わることはイメージできるかと思います。こういう現状を踏まえて、三菱電機ら日本の大手も電子カルテを開示できるようなシステムに注力しています。大手が参入しているのならば、ブロックチェーンは必要なの?という疑問を持った方もいらっしゃいますよね。

何故、大手のシステムではなくて、ブロックチェーンなのか。

それは、ブロックチェーンが1つの機関に頼らず、様々な利害関係者によって運営されているからです。どういうことなのか、細かい仕組みについては省きますが、ブロックチェーンでは、誰でもシステムにアクセスできる公共性をもちながら、誰かが勝手に他の人のデータにアクセスしたり、改ざんすることができません。これが大手のシステムだった場合は、大手の職員が勝手にあなたの情報にアクセスできる可能性があるということです。

つまり、医療業界のカルテ問題に置き換えると、どこの病院に行っても、自分のカルテにアクセスすることができる、ということです。そして、自分のプライバシー(カルテ情報)に誰かが勝手にアクセスすることはできません。特定の一社がこのシステムを作った場合、あなたのカルテ情報はその企業に集約され、マーケティング等に利用されることとなります。(あなたが禁煙を試みていた場合、禁煙グッズが出てくるならばまだしも、あなたを誘惑するようにタバコの広告が流れるようになるかもしれません。)または、誰かがあなたのカルテを勝手に書き換えてしまい、間違った投薬を受けることになるかもしれません。

データの扱いは、非常に繊細で重要なトピックとなっています。Google、Amazon、Facebookを始めとするITの巨人らがあなたの検索結果、購買履歴、交友履歴、その他様々あなたに関する情報を集めて、利益を得ているのです。

いま、まさに自分の情報を自分で管理するということが求められ始めています。

ブロックチェーンはまさに、誰でもアクセス可能という公共性(利便性)を維持しながら、自分の情報を自分で管理するためことができる、現代にはうってつけの技術なのです。

 

保険

保険におけるブロックチェーンの応用範囲を考える前に、保険の仕組みについておさらいです。

様々な種類の保険がありますが、基本的に保険はリスクに備えて、多数の保険加入者が準備資金を出し合い、保険加入者の身に何かあった場合、その準備資金から一定のお金を分配し助け合う、というような仕組みです。保険会社は保険加入者から、保険料を集めて資産運用をし、保険加入者の身に何かあった場合は、保障を支払います。保険金は、保険会社が作成する標準生命表(年齢、性別による死亡率)*によって決定されており、ここにはカラクリがあって、保険会社は標準生命表の死亡率を多めに見積もっていると言われています。

つまり、実際よりも多くの人が死亡すると算定して、多めの保険料を徴収しているということです。

100人中5人が死亡するという前提で保険料が算定されているとしましょう。

実際には3人が死亡したとすると、2人に支払うはずだった保障金は余ることとなり、その余った分は加入者に還元されるのではなく、保険会社の利益となります。この非効率、非合理的なシステムは、ブロックチェーンの応用技術、スマートコントラクトで解決できると言われています。スマートコントラクトとは、プログラムに条件を予め設定しておき、条件を満たした場合に自動的に、その契約内容を履行するシステムです。

よく、自動販売機に例えられています。

お金を入れると、機械が自動でジュースをくれますよね?前提条件を満たすと、予め決められていた契約が実行される。あれと同じことが、プログラム上で起こっているとイメージして下さい。

具体的に、保険においてスマートコントラクトがどのように動くのかというと、保険加入者はスマートコントラクトの前提条件を確認して、お金を支払います。

集まった準備金は、スマートコントラクトのシステム上で保管されます。スマートコントラクト上の準備金は事前に同意を得た条件でのみ、動かされます。誰かが単独で動かすことはできません。

例えば、加入者が死亡したときのみ、保障金が支払われるという条件ならば、その条件が満たされない限り、支払いは行われません。逆に条件が満たされれば、必ず自動的に保障金が支払われます。

そんなの当然だろ、と思う方もいるかもしれませんが、世界的には保険会社が、条件が適用されるのにも関わらず保障金を支払わない例も少なくありません。前提の条件通りに、自動で契約を実行することが出来るということは、それを管理するための人件費、不明確な商品設計、支払いの未達成も起こりえません。

人が介在しないほどミスを減らすことができることは明白です。

 

HR(Human Resource)

人事においてブロックチェーンがどのように活用できるのか?

こちらは勉強会の会場を提供してくださったPasona様からのご質問。自分の関わっている業界でどのように新技術の応用可能性があるのか、気になりますよね。

Alpha Tokenの野入さんが言うには、サンフランシスコでHRテックはかなりのホットトピックとなっているようです。実際に軽く調べてみたところ、現在は履歴書の信憑性が確認しづらいという課題があるようです。日本では履歴書は真実に従い、忠実に記載するのが当然ですが、海外だとGPA(大学の成績)を改ざんするのは日常茶飯事とのことです。これを一々確認することはほぼ不可能でしょう。

そのような現状を踏まえて今、履歴書をブロックチェーン上に保管して、勝手な改ざんができないようにするシステムを作っている企業があるようです。

このプラットフォームでは、履歴書をブロックチェーン上に保存するだけでなく、自分で入力した職務経験等を監査する専門業者がいて、虚偽の履歴を書けないような仕組みになっています。

また、雇用者はLinkedinやFacebook感覚で自分の履歴書を作成できながら尚且つ、世界中のヘッドハンターや人材派遣会社にあなたの履歴書が目に留まる可能性があるということです。

企業の人事も自分の会社の目的に合った人材を正確に検索することができるだけでなく、雇用の際に生じるコストや雇用した後につきまとうリスクが低減されます。

ヘルスケア、保険、HRでどのように実際ブロックチェーンを組み込むことが出来るか、というケーススタディを書いていきましたが、如何でしたでしょうか。

まだまだブロックチェーン自体が検証段階であるため、実現可能性に留まっている点もありますが、これを機に、自分が関わっているこの仕事、いつも使っているあのサービスをブロックチェーンでもっと効率よく、便利にできないのか?という疑問を持つようになって、関心を持っていただければ幸いです!

以上、カメレポートでした。

また、Block Rabbitへの思いに共感して、何か一緒に作りたいという方、勉強会に参加したいという方は是非こちらのテレグラムからBlock Rabbitへ。

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