1. EVM(Ethereum Virtual Machine)とは?
EVM(Ethereum Virtual Machine)は、イーサリアム上でスマートコントラクトを実行するための仮想マシンです。EVMはイーサリアムネットワークに分散して存在し、各ノードがEVMを動作させることで、トラストレスなスマートコントラクトの実行を実現します。EVMはTuring Complete(チューリング完全)な計算モデルを採用しており、理論上はあらゆるプログラムを実行可能ですが、無限ループを防ぐために**Gas(ガス)**という手数料システムを導入しています。
EVMの主な特徴
- 分散型:世界中のイーサリアムノード上で実行
- チューリング完全:複雑な計算が可能
- Gasシステム:計算リソースに対するコストを設定し、ネットワークの健全性を維持
- スマートコントラクト:Solidityなどの言語で記述されたプログラムを実行可能
2. トランザクションとは?
イーサリアムのトランザクション(Transaction)は、EVM上で実行される操作の単位です。トランザクションには、ETH(イーサ)を送金するものと、スマートコントラクトを実行するものの2種類があります。
トランザクションの主な要素
- 送信者(from):トランザクションを発行したアドレス
- 受信者(to):トランザクションの送信先(アドレスまたはスマートコントラクト)
- Nonce:送信者のアカウントごとのトランザクション番号
- Gas Price:1 Gasあたりの手数料
- Gas Limit:トランザクションで使用可能な最大Gas量
- Value:送信するETHの量
- Data:スマートコントラクトを実行する場合の入力データ
- Signature:秘密鍵で署名されたデータ(トランザクションの認証用)
トランザクションはネットワーク上のノードにブロードキャストされ、マイナーまたはバリデーターによって処理されます。
3. ブロックとは?
イーサリアムにおけるブロック(Block)は、トランザクションの集合体であり、ブロックチェーンの基本単位です。ブロックはチェーン状に連なっており、新しいブロックが追加されることでデータが永続的に保存されます。
ブロックの主な要素
- ブロックヘッダー(Block Header)
- Parent Hash:前のブロックのハッシュ
- State Root:EVMの現在の状態を示すハッシュ
- Transactions Root:トランザクションデータのハッシュ
- Receipts Root:トランザクションの結果のハッシュ
- Timestamp:ブロックの生成時刻
- Difficulty:マイニングの難易度(PoWの場合)
- Nonce:マイニングで使用される値(PoWの場合)
- トランザクションリスト(Transactions)
- ブロックに含まれるトランザクションのリスト
- Uncleブロック(Uncle Blocks)
- PoWマイニング時に発生する、メインチェーンに含まれなかったブロック情報
4. EVMにおけるトランザクション処理の流れ
- トランザクションの作成:ユーザーがトランザクションを発行し、秘密鍵で署名する。
- ネットワークへのブロードキャスト:ノードがトランザクションをネットワークに流す。
- トランザクションの検証:各ノードがデジタル署名、Nonce、Gasの適正性をチェック。
- ブロックへの追加:バリデーター(PoS)またはマイナー(PoW)が有効なトランザクションを選び、ブロックに含める。
- ブロックの確定:PoWまたはPoSのコンセンサスアルゴリズムにより、ブロックが確定。
- EVMでの処理:トランザクションの内容に従い、スマートコントラクトの実行やETHの移動が行われる。
5. 最後に
EVMは、イーサリアムのスマートコントラクトを実行する仮想マシンであり、ネットワーク全体で分散的に動作します。トランザクションはEVM上での操作を記述する単位であり、それらはブロックにまとめられてブロックチェーンに記録されます。
イーサリアムの仕組みを理解することは、Web3やDeFiの領域での開発や投資を行う上で不可欠です。特に、Gasの概念やトランザクションの構造を把握することで、より効率的なブロックチェーンの活用が可能になります。