IOTAって今どうなってるの? IOTA MEETUP NY レポート(9/6/2018)

こんにちは!ブロックラビットのカゲです。
ブロックラビットの本拠地、NYで開催されるブロックチェーンのイベントをどんどんご紹介していきます!
NYでは毎日どこかでブロックチェーン絡みのミートアップが行われおり、今回ご紹介するのはIOTAです。
IOTAのミートアップはNYで定期的に行われているのですが、2018年9月6日に行われた「Meet IOTA Co-founder Serguei Popov and Ecosystem Dev Fund MD John Licciardello」はIOTAの共同設立者であり、Tangleのホワイトペーパーを書いたセルゲイ・ポポフさんがスピーカーに出られる!という超貴重な会があったので、行ってまいりました!

IOTAとは

はじめに、ジョン・リッチャデッロ(John Licciardello)さんより、IOTAについて説明がありました。
ジョンさんはIOTAのエコシステム開発基金のマネージングディレクターです。学士号を取得した後、メキシコで金融におけるベンチャーを立ち上げました。銀行に預貯金のない人でもATMから送金できるシステムを開発し、特許を取った経歴の持ち主です。

IOTAとは、ドイツに本拠地を置くオープンソースの分散型のプロトコルの名称でもあり、仮想通貨として日本では知れ渡っているかもしれません。IOT(The Internet Of Things、モノとモノを繋ぐ)に特化したP2Pのレッジャー・プロトコルです。
IOTAの分散型プロトコルにはTangleという新しいDAG(有向非循環グラフ)を使用したシステムが使われています。文字通り、絡み合ったP2Pです。Tangleで取引を行うには、自分のトランザクションの検証を行うために、2つ前までのトランザクションを検証する必要があります。「払い戻し(Pay-it-forward)」と呼ばれるこの検証システムでは取引にかかる手数料が発生しません。

IOTAには4つの目的(理想と表現した方が正確かもしれません)があります。

  • 高スケーラビリティ−ネットワーク活動の増加により、取引決済時間の短縮
  • 低リソース条件−センサーなどの小型デバイス用に設計
  • 取引料金の無料化−1セントを送って、1セントを受け取り、100万ドル送って100万ドルを受け取る
  • 安全なデータの転送−全てのデータが暗号化され、転送され、収納でき、参照できる

注目すべきはTangleを使用することにより取引手数料がかからないという点ですね。今回のミートアップの中でも、「Zero-fee transactions」と掲げた取引手数料を無料に近づけることが、IOTAの最も大切にしている設立目的だと繰り返されました。

開催された会場はGeneral Assembly

今回のミートアップが開催されたのは、ニューヨークのど真ん中にあるGeneral Assembly というカルチャースクールです。
夕方の6時過ぎから開場したのですが、エンパイヤーステートビルが見える「ザ・ニューヨーク」な場所で、また有名なすごく細い「フラットアイアンビル」のすぐ近くでした。


入り口にはこんなアートワークがお出迎えしてくれました。

セルゲイ・ポポフさんとは

セルゲイさんは登山と金属をこよなく愛する世界的な数学者です。IOTAのTangleのホワイトペーパーの執筆者で、COファウンダー、最近はIOTA協会の取締役のボードになられたそうです。
セルゲイさんは、ブラジルのサンパウロの大学で数学の研究をされています。
今回のミートアップにも、Skypeを繋いでの参加です。左にセルゲイさん、右にミートアップ会場が映し出されています。これまであまり経験のない試みでしたが、スムーズに行えた(主催者は失敗が多かったとおっしゃられてましたが)ので、今後はこんな形で世界中オンラインで繋いでのミートアップが増えていくかもしれません。

ミートアップで話されたこと

セルゲイさんは、2015年にサトシナカモト氏のビットコインの概念に衝撃を受け、仮想通貨が手数料無しに動き、動かせるアイデアを思いつき、3ヶ月間話し合って、今の「Zero-fee transactions」に近いコンセプトを作り上げました。ホワイトペーパーを書き上げ、その年の末にICOを行いIOTAが設立されました。
IOT fee less Systemが現在のIOTAになりました。小さなチップが作られて、車などに埋め込まれ、全てが繋がっていく世界になり、その際には今のインターネットシステムの中央集権型のシステムでは無理が出てくるのは時間の問題だと、セルゲイさんは言いました。分散型のシステムの中におけるIOTを、ブロックチェーン技術を使ってやっていきたいのだと話しました。
その後、セルゲイさんへ質問できる時間が設けられました。ここではスクリーン右に設置されているPCの前に質問者が立ち、彼へ直接質問ができる方法が採られました。沢山のディスカッションの中からいくつかの質問内容を取り上げてみたいと思います。

Q1

P2Pのトランザクションを管理しているコーディネーターが必要なら、IOTAは分散型でなく中央集権型と言えるのでは?

A1

テンポラリーのソリューションではあるものの、今のところコーディネーターが一番いい解決策じゃないかと思っています。そもそもコーディネーターがいないとチップ同士の環境などをモニターする人が必ず必要になるのではないでしょうか。


Q2

IOTからアイデアを得たのですか?

A2

オリジナルにはIOT fee less systemがありましたが、IOTは課金があって嫌でした。IOTは手数料を無料にするシステムに向いていると思います。チップや説明責任やFixなど、インターネットでは無理があります。コーディネーターはIOTの状況をチェックする役割も果たしています。


Q3

コーディネーターなしでTangle同士でやりとりすればいいのでは?

A3

うーんどうでしょうか。うまくいくかなあ(曖昧な答え)


Q4

IOTA以外で、今セルゲイさんが注目しているオススメのプロジェクトはありますか?

A4

ちょっとわかりませんね。(曖昧な答え)


Q5

最近IOTAのボード(取締役)になりましたが、どうですか?

A5

ボードになることによって仕事が増え、誰にいくら支払う、支払わないとか、そういうことを考えたりマネージするのがとても面倒で退屈です(と話して、司会者にとめられる)。


IOTAのコーディネーターとは

ネットワークの成長と攻撃からの防御のため、IOTAは現在コーディネーターに頼っています。コーディネーターはトランザクションが有効であるかを検査し、その後ネットワーク全体によって有効化されます。コーディネーターはマルチシグネチャを採用しており、ネットワーク全体でチェックされ、有効化されているので、悪事を働くことはできないという理屈です。一旦ネットワークが成長したら、コーディネーターは完全に消去される予定になっています。

参加者の反応

今回のミートアップにはエンジニアや投資家、また金融関係の偉い方たちなどが参加されていました。ピザをつまみながら、気軽な雰囲気で今回の内容やセルゲイさんについての意見が聞けました。
皆さんやはり、IOTAのコーディネーターの存在が気になるようでした。セルゲイさんもそれらの質問にはあまり明確に答えてはくれず、少し消化不良といった感がありましたが、彼ががあまりにも著名な数学者なため、例えば注目しているプロジェクトについて気軽に話してしまうと、その会社の金融価値が左右されてしまいかねないという立場から、発言が慎重なのだろうという意見も出ていました。


今回参加してみて、IOTA、そしてブロックチェーン自体にまだ課題が多く、今後1年、もしくは2年などの時間をかけてでも、いかに課題を解決していくのか、ということが大切なのだと思いました。
IOTAの主催者の方も、沢山の課題を早く解決するためにも、オープンソースにしているのだとおっしゃっていました。

今後も注目のミートアップに参加していきます!

1 個のコメント

  • […] 今回の会場は地下鉄23ストリート駅と先日の「IOTAって今どうなってるの? IOTA MEETUP NY レポート(9/6/2018)」でもご紹介したフラットアイアンビルとの間にあるRise New Yorkで開催されました。フィンテックの会社がデザインしたカフェやワークスペースが備えられているおしゃれでユニークな場所です。 […]