クリプト訪ねて三千里:第904話
DeFiのリスク その2

ブロックチェーンは、投資に内在するリスクをなくすことはできず、リターンの可能性の必然的な裏付けとなります。この場合、DeFiはただでさえ高い暗号通貨のボラティリティーを拡大させる可能性があります。DeFiの多くのサービスはレバレッジを容易にし、投資家は基本的にお金を借りて利益を拡大するが、損失のリスクも大きくなります。

しかも、誤って送金された資金を送り返してくれる銀行員や規制当局は存在しない。また、ハッカーがDeFiサービスのスマートコントラクトなどの脆弱性を発見しても、投資家に返済する人がいるとは限らない。過去2年間で約3億ドルが盗まれている。予期せぬ損失に対する第一の防御策は「投資家は気をつけろ」という警告だが、金融ではこれが十分に証明されたことはない。

DeFiサービスの中には、テロリストの取引を禁止していなかったり、一般の人がデリバティブのような制限された資産に投資することを許可していなかったりと、米国やその他の国の規制義務に違反しているものもあるようです。これらの要件の一部が、従来の仲介者のいないDeFiでどのように実施されるのかさえも明らかではありません。

高度に成熟し、高度に規制された伝統的な金融市場でさえ、隠れたリスクのためにショックやクラッシュを経験する。2008年にウォール街の片隅で起きたことが原因で世界経済が崩壊しそうになったのを、世界は目の当たりにしたのだ。DeFiでは、大爆発を起こす可能性のある隠れた相互関連性を、これまで以上に容易に作り出すことができます。

米国をはじめとする各国の規制当局は、こうしたリスクを抑制する方法を検討し始めています。例えば、DeFiサービスに対して、マネーロンダリング防止要件への対応を求めたり、安定したコインに関する規制を検討したりし始めています。

しかし、これまでのところ、何が求められているかについては、まだ表面をなぞっただけに過ぎません。

旅行代理店や車の販売員など、インターネットは仲介者のボトルネックとなる力を繰り返し弱めてきました。DeFiは、オープンスタンダードに基づくソフトウェアが、ゲームを劇的に変化させる可能性を示すもう一つの例です。しかし、この新しい金融エコシステムの可能性を実現するためには、開発者と規制当局がそれぞれのパフォーマンスを向上させる必要があります。

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BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。

第596話からのターン。バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきます。

~第595話まで
現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。

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ABOUTこの記事をかいた人

農耕型・堅実派のアルゴリズムトレーダー。夢はヘッジファンドを自動で運用することです。簡単なプログラミングからパソコンの組み立てまで全て一人でできるバランス感覚の持ち主です。 DeFi(分散金融)をわかりやすくお伝えすべく「クリプト訪ねて三千里」に挑戦しています。