こんにちは!ブロックラビット編集部です。今日は先日ラビットレポート(速報)でお伝えしました、「第3回LITTLE MONSTER Meet- up in Japan!」の内容をご紹介します!

カメレポートとは、当日行われた議論の一部を取り上げ、Block Rabbit編集部が独自の見解と情報を盛り込んだ深堀レポートです。

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今回の記事について

ブロックチェーンは教育を救えるのでしょうか? 戦後以来ほぼ変わっていないとされる日本の教育制度、教育にアクセスできない発展途上国の子供たち。世界各国で様々な教育制度の問題が騒がれる中、技術革新は着々と進んで行き、人間が学ぶべきこと(技術)は増加傾向にあると言えます。
人間、元々の能力に関しては大きな差があるわけではありませんが、教育によって学ぶ”技術”で、後天的な総合的能力の差が生じるという意見があります。例えば、インターネットの扱い方を知っている人と知らない人では、現代において作業をする際に決定的な差が生じることは明白かと思います。

つまり、この”技術”を、『学ぶ』or『学べない』という選択は非常に核心的な要素であり、学ぶべき技術が増えていく現代、教育は今後の社会を行きていく上で大変重要なテーマだと考えます。今回の記事では、新しい技術と着目されるブロックチェーンが教育に対してどのような価値を提供できるのかというテーマを元に考察を入れていければと思います。

 

メインテーマの前に

リトモンMeet-up!! Vol.3にも参加してくださった皆様、会場をご提供していただいた株式会社Pasonaの石川様、誠にありがとうございました!
また、当日参加できなかった!という皆様は是非こちらのBlock Rabbitテレグラムから次回の情報を見逃さずに!

 

ブロックチェーンは教育においては必要ない!?

結論から言うと、今回の勉強会においてブロックチェーンは教育には適さない、という意見が多数でした。ブロックチェーンは、公共性を有しながら、そのシステム上のデータが改竄しにくい点、そしてそのシステムが誰か1人に依らず、分散的に管理されている点が魅力とされていますが、現在の教育制度における問題に対する解決策とはなり得ないとのことでした。そもそも教育制度がはらむ問題にはどのようなものがあるのでしょうか?

  • 教育の画一化
  • 学歴主義
  • 教育格差(子供の貧困)

主要な問題として、上記のようなものがあると言われています。
教育の画一化とは、本来ならば生徒一人ひとりに適したスタイル、進行速度で教育を進めていくことが理想とされていますが、学校のリソースにも限りがあるため、クラス単位での一方的なテンプレの教育スタイルとなってしまう現状があるようです。
学歴主義は、偏差値という尺度を用いて学校、人の優劣を図る体制です。人の能力は必ずしも学歴だけで判断されるべきではありませんが、最も重要な指標として扱われてしまっています。
教育格差は、親の経済力によって子供が受けられる教育に差が生じてしまうことを指します。お金持ちはその潤沢な資金で充実した教育を受けられるのに対し、授業料を収めることができない人は、子供を学校に行かせるどころか労働を強いらなければならないケースもあります。
結論は前述しましたが、以上3つの問題に対しては、ブロックチェーンが現状解決策とはなり得ないという意見が多数でした。
しかし、広義な教育におけるブロックチェーンの活用方法としては、例えば歴史などの史実をブロックチェーン上で分散的に管理して記録していくことや、教育にアクセスのない人々、資格を有さない人々がネット上のオンラインスクールで学んだことに対して、ブロックチェーン上で記録された証明書を発行する等の意見が幾つか出てきました。
実現可能性やそもそもの必要性など、上記のアイデアに対しても様々な意見が交わされましたが、ここで得た1つ重要な示唆は、”ブロックチェーンで何もかもできるわけでないし、無理に活用する必要もない”ということだと思います。

新技術の提唱において、私達はこの技術で、あれが変わる!これも変わる!となんでもできてしまいそうな印象を持ってしまいます。
よくよく考えてみればそんな魔法みたいなことはあるはずありませんが、バブルに熱狂してその技術の本質を見失いがちになってしまいます。現在は熱が収まり、ようやく座してその本質を話せる期間なのかもしれません。

 

ブロックチェーンの設計における変数

ブロックチェーンとひとえに言っても、トランザクションの承認速度、同意形成の方法、トークンエコノミクス等のデザインはそれぞれのチェーンで異なります。様々なサービスにおいて、利用用途によって理想とされる構造があると思いますが、ブロックチェーンも同様に、実需に則した設計を施すことができる可能性があるということです。

現状、教育制度がはらむ問題に対して、ブロックチェーンは解とはなり得ないとのことですが、もしかしたら今後、違うデザインのものが出現し、教育制度において活用できるものが出てくるかもしれません。

そこで、チェーンの設計において重要な要素を幾つか見ていき、実際にどのような変数がデザインできるのか見ていきましょう。

開発者がまず考えることは、システム上で扱われるデータの容量でしょう。膨大なデータを扱う場合と、データ量が小さい場合とでは同意形成*の設計が全然変わってきます。

*ブロックチェーンに記録する情報を承認・確認する方法

全てのノードが同じデータを保存し、それぞれのGPU,ASIC*が、記録する情報の正否を計算する必要があるPoWという同意形成方法では、扱うデータ量が大きければ、膨大な量の電力を消費してしまいます。ですから、この場合はPoW以外の同意形成方法であるPoS、DPoS、PoC、PoI等の他の方法を採用する、という考えになるかと思います。

*Miningにおいてよく用いられる、高度な計算処理ができる機械。例えるならIntelよりもずっと超高性能なCPU。

仮にPoSを採択した場合、次に考えることはトランザクションの承認速度(ファイナリティー)かと思います。その情報を瞬時に記録する必要があるのか、それとも数分後、1日後でもよいのか、用途によって様々です。日常の決済で利用する場合(例えばPASMO)は、瞬時に決済が完了していなければいけませんが、例えば不動産の登記等においては、一瞬で記録される必要は必ずしもありませんよね。承認速度が早いということは、その分承認のプロセスが簡略化されており、その情報を巻き戻すことができる可能性が高いということでもありますので、利用される場面を明確に想定する必要があります。

更には、トークンの総発行量をいくつにするのかという経済的観点、Miningの難易度調整、どのような形でトークン自体が使用できるのか、と1つの経済圏全体の流れを考える必要があるので、その難しさは想像に難くないかと。

 

ブロックチェーンが抱える問題

ブロックチェーンは上記の変数をいじることで、利用用途に適したデザインを作ることが可能ではありますが、現状まだいくつかのボトルネックを抱えています。

    • アップデートのガバナンス

通常のソフトウェアと異なり、チェーンをアップデートしたい、修正を加えたい、バグを見つけたといった場合に、既に動作しているチェーンを一旦止めて新しいものにすることはできません。常に世界中の誰かがコンピューターを回して、チェーンを動かしているからです。また、勝手にアップデートしたり、修正を加えることも許されません。何故ならば、原則ブロックチェーンにおいては管理者は存在せず、民主的な方法でアップデートや修正の是非を問いてから、実行に移すことが必要となります。

    • インセンティブの維持

トークンの価格が上下することから、MinerがブロックチェーンをMiningする合理的なインセンティブが崩れる可能性があります。Minerは電力消費量、初期投資費用(機械、設備の購入)、賃料、人件費で大まかなコストを算定することができます。また同時に、Miningでどのくらいの報酬を獲得できるかもほぼ予測することができます。現在、ビットコインにおける損益分岐点(ビットコイン1枚あたりの値段がいくら以下以上で利益が出る、出ないかのライン)。ここの管理主体がいないので価格が損益分岐点を超える見通しが立たない場合は、徐々にMinerが離れていき、エコノミーは消失することとなります。

    • 記録の不可逆性

一旦ブロックチェーンに記録されたデータは巻き戻すことが原則不可能となります。ノードの51%以上の賛同を得られれば書き換えは可能ですが、通常そのようなことは起こりえません。間違った記録を書き込んでしまった場合はそのままブロックの生成が進んでいくこととなります。”アップデートのガバナンス”同様、修正が加えにくい点が課題です。

    • スケーラビリティ

ブロックチェーンに書き込めるデータ容量に限度があることも大きな問題ですが、規模の小さいネットワークの維持が難しい点も大きな問題だと考えます。エコノミーの維持には一定の参加者が必要となります。データの正否を計算して確認、ブロックチェーンにデータを書き込むMinerもある程度の人数が求められます。トークンを実際に使うユーザーも一定数いなければトークン自体の価値が創出できません。様々な利害関係者を集めて、彼らが上手く動作するようにインセンティブを設計しなければなりません。

 

まとめ

ブロックチェーンが教育で活用できるか、というトピックを探っていきながらブロックチェーンのデザイン設計についても言及しました。ブロックチェーンがIDや成績の記録、クラウドストレージ、資格証明書において活用できるとは言われつつも、それぞれの利用用途に適した構造を構築していくには、どのような変数を修正していかなければならないのか。
最後に、ブロックチェーンが抱える課題についても触れて、まだまだ利用用途に適した理想の設計をするには課題があることを確認しました。
現状、ブロックチェーンは基礎技術の研究を各プロジェクト、企業、個人らが進めている段階でまだまだ実装には程遠いといえます。これが社会で実装されるには5年ほどはかかるのではないかと、と界隈では言われていますので、カメのように長い目で取り組んで行ければと考えています。

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