記事の要点
・長らくNFTはその処理に必要とされるエネルギー消費から、環境への影響を指摘されていた。
・Ethereum MergeはPoWからPoSへの移行により、エネルギー消費量を99%カットすると期待されている。
NFTの最大の懸念点とされていたエネルギー問題が無くなるのも、時間の問題である。
なぜなら、NFT最大のネットワークであるイーサリアムはPoSへの移行を始めているからである。Ethereum財団(イーサリアムを支援するNPO団体)によれば、Mergeによってネットワークのエネルギー消費量が99%カットされるという。この変化はNFTだけではなく、イーサリアム及び仮想通貨業界に、大きな意味を持つ。
Merge前のイーサリアムは、マイナーによってネットワークが運営されており、マイナーたちは高性能のコンピューターを用いて高度に暗号化されたコードを読み解くことで、ブロックを生成していた。そしてそのコードの読解を最も早く終えたものが、ETHを報酬として受け取ることができる。
2021年はNFT業界にとって最も輝かしい一念だったことは間違いない。NFTの爆発的な人気の増加により、イーサリアムの利用も増えた。それと同時にETHの価格も高騰した。これにより、高価なETHの獲得を目的としてマイナーが増加し、激化するマイナー同士の競争を勝ち抜くために多くの人々がより高性能なコンピューターを導入したのだ。
当然、高性能なコンピューターはエネルギーの消費量も激しく、結果としてイーサリアムが人気になればなるほど、エネルギー消費量の増加がもたらす環境への影響が懸念され始めたのだ。
Digiconomistによれば、イーサリアムの総エネルギー消費量は、2021年の最初が9TWhだったのに対し、年末には81Twhにまで増加していた。そしてこれは、イーサリアムが年間でチリという一国が1年間に消費する電力と同等のエネルギー消費量であり、香港と同等の炭素排出量ということになる。
また、Digiconomistの別の発表によれば、イーサリアム上の一つのトランザクションを処理するのに、一般的な米国の家庭が1週間で消費するエネルギーと同等のエネルギー量を消費していると指摘された。
②に続く
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