ブロックチェーンで何ができるのか? の前に知っておきたい基礎知識 前編 〜第5回LITTLE MONSTER Meet- up in Japan !〜カメレポート


こんにちは!ブロックラビット編集部です。今日は先日ラビットレポート(速報)でお伝えしました、「第5回LITTLE MONSTER Meet- up in Japan!」の内容を元にお話できればと思います!
カメレポートとは、当日行われた議論の一部を取り上げ、Block Rabbit編集部が独自の見解と情報を盛り込んだ深堀レポートです。

今回の記事について

今回は普段とは少し趣向を変えて、少し技術的なブロックチェーンの仕組みについて触れていきたいと思います!
第4回の勉強会までは、ブロックチェーンを活用して何ができるのか、その応用可能性について参加者の皆さんと模索してきましたが、改めてブロックチェーンの仕組みという基礎を振り返り、こうやって動いているから、このようなことに利用できるのではないか、その仕組だとこういう用途には向かないよね、という具体的な話ができればと考えて、今回のテーマを創案しました。
様々な技術、概念が組み合わさっているブロックチェーンをそれぞれの要素に分解して、ミクロからマクロに説明していけたらと思います。当日利用したスライドもバンバン貼っていきますので、よかったら最後までお付き合いください!
今回触れていくのは基礎編ということで、ブロックチェーンの原祖、ビットコインのブロックチェーンの仕組みについて考察しています。
少々ボリュームがありましたので、今回は初の前編後編構成となっています!

前編:ブロックチェーン(分散型システム)が生まれた経緯/ その分散型システムを実際に動かすためののハードル/ そのハードルをブロックチェーンはどのようにクリアしているのか?

後編:ハードルの解決策 マイニング/ 大事な概念ハッシュ関数とその役割と特徴/ 電子署名

メインテーマの前に

リトモンMeet-up!! Vol.5にも参加してくださった皆様、会場をご提供していただいた株式会社Pasonaの望月様、誠にありがとうございました!
また、当日参加できなかった!という皆様は是非こちらのBlock Rabbitテレグラムから次回の情報を見逃さずに!

ブロックチェーンとは何かの前に、なぜブロックチェーンが求められているのか?

ブロックチェーンが生まれた経緯は諸説ありますが、その一つに、行き過ぎた集権構造への反発があります。

集権構造とは?

皆さんの身の回りで起きている現象を例にとれば、もはや一国よりも巨大なパワーを持つGoogleやAmazon、Facebookがあります。Googleは検索結果の操作を行い、人々が本来得るべき情報を調整していたり、Facebookはユーザーの個人情報をさも当然かのようにマーケティングの材料として利用し、Amazonは小さな小売業者を圧倒的な経済力で飲み込んでいます。


皆さんも感覚的に、一つの企業・主体に権力が偏ると良くないとは理解しているかと思います。経済の授業でも独占市場の問題、というような形で触れたかと。

集権構造への批判は今に始まったことではなく、歴史的にも波のように繰り返されているとBlock Rabbit編集部は考えます。集権→分権→集権→分権。どこかに偏った力は必ず、還元される常にあるのです。

ITでもそのようなことが起こる、もしくは既に起こっていると推察します。ヨーロッパに始まるGDPR(データ規制)は一極集中への一つの提言だと見て取れます。日本はまだまだデータの取扱いのリテラシーが比較的低いとは思いますが、自分の検索履歴や個人情報をネット(SNS)に載せることを嫌がる人たちは確実に周りで増えています。

一つの、もしくは幾つかの企業・主体が牛耳っている経済・インターネットの世界を開放しよう!そのような分権運動の機運が高まり、それを実現できる可能性をもつ技術である”ブロックチェーン”(分散型システム)が騒がれたのだと考えています。

ブロックチェーン(分散型システム)とは?

分散型システムを言葉で説明すると大変複雑になってしまいますので、下記図をご確認ください。

ここでは、仕組みというよりもイメージだけ捉えられれば大丈夫です。

銀行を例にすると、既存のシステムでは、通常”一つ”(複数の場合もありますが)の銀行があなたの預金、振込等の帳簿の管理を行っています。しかし、分散型システムにおいては、あなたの預金、振込等の承認、確認をする人が1人ではなく、沢山いるのです。

そして、分散型システムにおいて特筆すべきは、”誰でも”預金、振込をするユーザーになるだけではなく、その取引の承認・確認をする側にも回ることができるという点です。

とにかく、分散型システムでは、”不特定多数”の様々な役割を担う人がいるとわかっていただければと思います!

分散型システムの課題

勘の鋭い方は、上記の説明で課題が沢山あることに気がついたかと思います。正に仰る通りで、”不特定多数”の様々な役割を担う人がいるシステムを正常に運営していくには幾つかハードルがあるのです。

まず1つ目は信頼性の問題です。どこの誰かも分からない人が承認・確認をした取引って正しいのか?本当に当人が実行しているものなのか?皆がバラバラの取引の記録をした場合はどれが採用されるのか?

2つ目がインセンティブです。なぜ人々がわざわざ誰かの取引の承認・確認をしたいと思うのか?なぜ人々はそのシステムを使うのか?なぜ人々は正しい記録を取らなければならないのか?

上記の2つの課題をクリアしないことには、安心して利用できませんよね?しかし、ブロックチェーンは見事にこの2つの課題の解決策を提案しているのです。

信頼性とビザンチン将軍問題


分散型システムにおいて、とっても重要な課題があります。その名も”ビザンチン将軍問題”です。
上記の図を見ていただいたほうが分かりやすいので言葉での説明は省略しますが、
要するに、複数人が意思表明をした場合に

正しい合意(総意)を得るのが難しい

ということです。
分散型システムにおいても、沢山の人達がネットワークに参加して他の人達の取引の記録の承認・確認をしていますが、ビザンチン将軍問題のように不正な記録をしようとする輩が必ずいるという想定がなければ信頼性の高いシステムとは言えません。
それでは、ブロックチェーンがどのようにその問題にアプローチしているのかと言いますと、下記の2点の解決策を提示しています。

  • ブロックチェーンへのデータの記録は誰でも記録行為が行えるものではありません。記録をするために初期コストを強いているのです。誰でも意思表明できてしまうと情報が錯綜してしまいますよね?一定の閾値を設けるためにこのような仕様を採用しています。
  • →ブロックチェーンにデータを記録するためには機器を揃えて、莫大な電気を消費しなければなりません。不正を働く人達にとっては、そこまでするのは面倒だ、と思ってしまうわけです。

  • 不正なデータを記録するためには、一般的に正しいデータを記録するよりも更にコストが掛かるような設計になっています。そしてそこまでしても、万が一自分の記録が採択されなかった場合は報酬がもらえないので機会損失となってしまいます。
  • →ただでさえ、初期コストが掛かるのに、不正をするためには普通に記録するよりも更に多くの労力を要します。悪い人も、もうここまでする必要があるのならば、普通にやって報酬を得ます、と思ってしまうのです。

ようやく本題。具体的にどうやって動いているのか?

長くなってしまったので、続きはレポートの後編に記載します!

まだ技術的な部分には触れられていませんが、ようやく後編から本編に入っていきたいと思います!

念のために、もう一回おさらいを!
前編のまとめ。

~ブロックチェーンとは何かの前に、なぜブロックチェーンが求められているのか?
一極集中を打破するために、分権運動の機運が高まった。その分散型システムを可能にする技術としてブロックチェーンが注目を浴びた。
~ブロックチェーン(分散型システム)とは?~分散型システムの課題
しかし、分散型システムにはクリアするべきハードルが2つある。それは、

  • 信頼性(知らない人が検証した取引は正しいのか?本当に当人が起こした取引なのか?)
  • インセンティブ設計(なぜ、人々が他の誰かの取引の検証をしなければいけないのか?)
~信頼性とビザンチン将軍問題
ブロックチェーンはうまく信頼性を担保するために、

  • 初期コストを強いて、参加者の数をある程度制限する、閾値を設ける
  • 悪いことをするよりも、普通に正しいことをしたほうが得をするような動機づけ

という、2つのアプローチでビザンチン将軍問題を解決している。

後編では、上記2つのアプローチの仕組みをより深く説明させていただければと思います!

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