吉田 繁治氏の「仮想通貨 金融革命の未来透視図」を読んだ上での考察です。鋭い見立てなので、この本だけで十分かもしれませんが、真に受けるだけならば誰でもできます。自分の頭で考えるということは大事ですので、今回の記事で皆さまも十分に刺激を受けてみて下さい。
仮想通貨は普及し、ドル本位制が終わる
仮想通貨が普及する。→ 世界通貨の誕生
という大前提です。これを信じるか信じないかはともかく、普及するという前提で話を進めます。
「仮想通貨 金融革命の未来透視図」の要約でもありますが、今は基軸通貨であるドルを媒介として各国間の商取引(貿易)が行われています。外国為替の商取引は銀行の収益源ですが、仮想通貨を利用することで事業会社にとってコスト削減につながります。したがって銀行が不要になるとの論理です。
ブロックチェーン技術が使われることになります。国家発行の政府系=今の円やドルと同じだが台帳技術の導入によりトレーサビリティ(追跡可能)の機能が加わる。民間による資金調達の仕組みとして民間系コインが導入される。=融資機能や株式発行型の資金調達が可能となる。すなわち、ブロックチェーン技術の裏付けがあることで、金融機関の仲介が減少し(摩擦が減る)効率的なものとなる。
ビットコインがその役目を担うかどうかわかりませんが、仮想通貨そのものが、ただの投機的な金融商品が増えたという認識だけだと甘い考えですし、痛い目にあうことになるかもしれません。
国家間のボーダーがなくなる・・ここからは私の一歩先読みです
現状は、国家間の格差というのが存在します。米国の生活水準はインドネシアの生活水準と明らかに違いますし、トルコの生活水準は日本の生活水準とも違います。地域格差というのが存在した上で国家発行の通貨がそれなりに意味を持っていたのです。
近未来はそうならないでしょう。今も既に芽が見えているかもしれませんが、フィンテック知識による格差がより鮮明に出てきます。デジタルデバイドという用語がありますが、ITを使いこなせる人とそうでない人で格差があるように、フィンテック格差というのが出てくるようになると思います。
具体的には、日本のIT・金融に詳しい18歳大学生とノルウェ―のIT企業創業者80歳のフィンテック知識が同等として、その数階級下にはメールは使えるもののエクセルが苦手な日本のおじさん65歳とジンバブエのとある村の酋長35歳が同格ということがあり得るのです。地域・世代によらない格差がくっきりと出てくる世の中になるでしょう。
これが世界通貨=仮想通貨のチカラだと思います。仮想通貨をうまく使いこなす人とそうでない人でその差が出てくるという意味です。
国家も負けていません。既に「ベネズエラが発行する国家の仮想通貨ペトロ」というニュースにもある通り、国家の囲い込みも始まっています。
通貨のそもそも論
通貨とは商品・サービス交換の仲介・手段です。通貨に価値があるとみんなが認めているから価値があるのです。これは今流通している紙幣や硬貨よりも、ブロックチェーンのほうが親和性があると言えるでしょう。通帳の数字を財産と認識しているくらいですから、価値保存、暗号技術が組み合わさったIT技術を資産として認識するほうが理にかなっていると言えます。
「明日から円は無価値です。」と政府が発表すれば通帳の数字は無価値です。ブロックチェーンについては宣言する管理者がいないので、そんな心配は不要です。
生き残りそうな仮想通貨は?
少しわき道にそれますが、未来でも生き残りそうな仮想通貨はどのようなものがあるでしょうか。ビットコインは基軸の仮想通貨とされていますが、トランザクションが遅いのは周知の事実です。信用が大事だと考えればビットコインが生き残りますし、そうでなければビットコインキャッシュが生き残ります。さらに機能性のある仮想通貨もあると思います。
量子コンピューター対策を打っている仮想通貨も目が離せません。NEO、IOTA、ADA、QTUM、QRL、HSRが候補として挙がっています。
仮想通貨の未来へのヒント
- タックスヘイブン
仮想通貨はボーダーレスの世界通貨となり得ます。タックスヘイブンに滞留している資金があると思いますが、それが全てセキュアな暗号通貨に変わるのは時間の問題でしょう。 - 決済
改札を通るのに既に電子マネーを使っています。同じ感覚で決済は仮想通貨が主流となるでしょう。 - 個人情報・ID
情報化社会の広がりで個人のIDがないと社会が成立しなくなっています。効率的なID認証技術が求められる世の中になるでしょう。住民票や戸籍謄本がブロックチェーン台帳に変わることになると言いたいですが、ここは流石に官僚的な流れで導入は遅いかもしれません。
まとめ
仮想通貨の未来を予見するヒントを立ててみました。預言者じゃないのでどこまで当たるかわかりませんが、クリプト業界のビジネスマンは予測に先立ってよい位置に立てるよう行動しています。狭義のトレーダーは投機的なトレーディング商品を売買して儲けることが仕事ですが、広義のトレーダーはビジネスとしてよい位置に立つことも求められています。なかなか難しいですけどね!商売センスというのは常に磨いておきたいものです。それではよい一日を!