前回の記事にて「通貨と暗号資産」の違いについて触れた。そこでは法律上の定義を中心に記
述したが、今回は、その違いがビジネスを行う上でどんな影響を与えるのかについて触れたい。
突然だが、世の中ではあらゆる金銭のやりとりが行われている。その中でも金銭の貸し借りは、
ローンや信用取引など様々な形で活用されている。それと同時に、暗号資産の登場以来、「暗号
資産の貸し借り」も世界中で行なわれているのである。
ここで注目したいのが、「ライセンス」である。ビジネスとしてお金を貸す場合、貸金業法に基づい
て貸金業登録を行う必要がある。貸金業法において『貸金業』とは「金銭の貸付け又は金銭の貸
借の媒介で業として行うものをいう」とされている。
では、暗号資産を貸すビジネスを行う場合にも貸金業の登録が必要になるだろうと考えられる。
しかしながら、(2021年の時点で)実際はそうではない。つまり、ビジネスとして暗号資産を貸す
場合に必ずしも貸金業の登録は必要とされないのである。
では、それは一体なぜか。
貸金業法において『貸金業』とは「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うものをい
う」とされている。よって、「金銭」の定義が問題となる。言い換えれば、暗号資産が円やドルなど
の通貨と同様に、「金銭」に該当するのかという点が重要なのである。
そして結論から言えば、暗号資産は貸金業法における「金銭」に該当しないのである。
よって、暗号資産をビジネスとして貸す上で、貸金業の登録が必ずしも必要とされないという結論
が導かれる。
ただし、注意すべき点がある。それは個別のビジネス・事情によって、結論が変わり得るという点
である。
例えば、貸し出した暗号資産がすぐに通貨に換金されて利用されるビジネスモデルの場合など、
実質的に通貨の貸し借りと遜色ないケースである。
このように個別の事例に即して判断されるという余地が大きい現在2021年においては、個別具
体的な慎重な検討が必要なのである。
まとめると、暗号資産は貸金業法における「金銭」に該当しないため、原則として暗号資産を貸す
ビジネスは貸金業の登録を必要とされていないのである。
通貨と同じような機能を果たしており、貸金業の登録が必要だと推測されるところ、必ずしも必要
とされないという事実は、多くの人にとって意外な発見なのではないだろうか。
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BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第924話からのターン。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場します!
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第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。