Ethereum の合併が来月に予想される中、Ethereum Classic(ETC)の価格が今日、コインあたり42.29ドルの4か月ぶりの高値を記録し、24時間で15%上昇した後、その日はわずかに値を下げて落ち着いた。
イーサリアム クラシックは、ヴィタリック ブテリンとギャビン ウッドによって共同設立されたイーサリアムブロックチェーンのハードフォークである。 もともとイーサリアムは2015 年にローンチすることを指していたが、THE DAO プロジェクトのハッキングの後、ロールバックされ、2016 年に再ローンチ、イーサリアムコミュニティ内での分裂を引き起こした。
現在、ETCは仮想通貨の中で19番目に大きい市場価値を持つコインであり、総市場価値は56億ドルにのぼる。より大規模なイーサリアムネットワークの一部ではないものの、ETC は、PoWからPoSへの移行への関心の高まりのおかげで価格が上昇しているとみられている。
Ethereumハードフォークの歴史
前述の通り、ETCとETHはもともと同一のコインであったが、2016年に起きたTHE DAO事件がきっかけとなりハードフォークが発生した。THE DAOとはもともとイーサリアムネットワークを活用したベンチャーキャピタルの運営を目指したプロジェクトであった。ベンチャーキャピタルの出資者としてイーサの保持者は持っているイーサを差し出すことで出資、リターンをイーサで受け取るという仕組みだった。
THE DAOはスマートコントラクトを用いることで、本来であれば出資の際に発生する煩雑な手続や監査を自動化するということを試みていた。しかし、プログラムの欠陥が何者かによって見つけられ、プロジェクト開始前に集められた大量のイーサが盗まれてしまうという事件が発生した。
その後、イーサリアムコミュニティはこの事件にどう対応するかという点で大きな対立が生まれた。大半は取引記録に変更を加えるアップデートを行うことで、イーサの窃盗自体が起きていなかったことにする、というものである。被害者には出資分のイーサを戻し、盗まれたイーサは使用不可になる。
しかし、この対策は通貨の信用を支える価値記録(取引記録)を変えてしまうものであり、これが可能となると、通過としてなんでもありの状態となってしまう。開発者やコミュニティの一存で過去すらも塗り替えることを良しとしてしまうこの対策は、一部からの強い反対も生んだ。そしてこの対策がイーサのハードフォークの原因となり、対策に賛同したものが現在のイーサリアムである。逆に、対策に反対してアップデートを行わなかったイーサリアムプラットフォームが現在のETCである。
様々な理由でハードフォークは実現しているが、このETHとETCを巡る事件は今後仮想通貨が本当に人々に法定通貨のように使われる未来を描いた際、通過の信頼性という根本的な原理の問題を再提起するだろう。現実世界で銀行強盗や何かしらの形でお金が盗まれた際、法律や銀行口座の残高を変えることで盗まれたお金を元に戻すようなことはできない。都合の悪い過去をアップデートによって変えられることは、目の前の問題を解決することはできても、貨幣としての信頼性を考えたとき、必ずしも好ましいものではないとTHE DAO事件は教えてくれているような気がする。
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