Original Article : Beginner’s Guide to Block Collider: A Novel Approach to a Multi-Chain Platform
Posted on July 31, 2018 by Brian Curran
ブロックチェーンプラットフォームと分散型ネットワークは、伝統的な産業や構造を打ち壊す大きな可能性を秘めた、多種多様の重要かつ革新的なメカニズムを提供するものだ。しかしながら、これらプラットフォームの多くは、個別の「壁にかこまれた庭園」として存在するという、重大問題を内包している。広く普及するために求められている次なる業界の進化としては、相互運用性、そしてプラットフォーム間の相互コミュニケーション能力がカギとなってくる。
マイニングが可能なマルチチェーン分散型プラットフォームBlock Colliderは、真の分散型メカニズムを通じ、複数のチェーンを橋渡しするための環境として自らのブロックチェーンを用いることで、チェーン間の相互接続性に斬新なアプローチを提示。加えてユニークな一連のメリットも備えている。
Block Colliderとは?
Block Colliderのモチベーションは、安定性やセキュリティ、スケーラビリティを犠牲にすることなく、リアルタイムで互いが行き来できる、真に分散化された環境をブロックチェーン上に構築することにある。概念的なアプローチならびにBlock Colliderが活用する特定の基盤テクノロジーを通じ、バリデーターやオラクル、障害発生の集中化を排除するモデルを使用しており、他のマルチチェーンプラットフォームと一線を画している。
この概念をよりよく理解するために、Block Colliderホワイトペーパー(英語)はUnixデザインの哲学に言及し、例を挙げて説明。基本的には、各プログラムが一つのことに専念してそれを極めること、それらのモジュール(規格化された部品)の接続はシンプルかつ効率的でなければならないことを提唱するものだ。Block Colliderは、さまざまなブロックチェーンがシステムに参加し、シームレスに通信・協調できるモデルを構築することで、ブロックチェーンのエコシステム上にこの哲学を具現化する機会を提供している。インターネットのもっとも重要な特徴は、情報交換を通じて人をつなぐ力だった。仮想通貨空間では、ブロックチェーンの相互接続のためのソリューションを提供する力がこれにあたる。
Block Colliderは基本的に、橋渡しされた各チェーン(ブリッジチェーン)の現状を自マルチチェーンにキャプチャして動作。Colliderチェーン内のすべてのブロックは、「基本タプル」と呼ばれるブリッジチェーンの先頭ブロックを参照する。ブリッジチェーン上にある最新の有効ブロックを参照するため、統合化チェーンとして機能できるわけだ。ここで重要なのは、Colliderチェーンが最速メンバーチェーンよりも速いという点だ。基本的にメンバーチェーンの1つで新しいブロックがマイニングされるたびに、それがどんなに速いものであっても、Colliderブロックがマイニングされることになる。
これがBlock Colliderの重要な利点と機能だ。プラットフォームがブロック間、マルチチェーン間の取引を可能にするのである。たとえばColliderユーザーは、Ethereumなどブロック生成時間の速いチェーンに依存するBitcoinのためのトランザクションを設定することで、Bitcoinチェーンのブロック生成時間の間にBitcoinとのトランザクションが可能になる。つまり、生成に10分ほど必要なBitcoinと比べて、約30秒ですむEthereumチェーン上でトランザクションが実行されるときに、いつでもBitcoinを当事者間で交換できるのである。Block Colliderに参加しているブロックチェーン上のいかなるトランザクション間でも可能だ。
現在、Block Colliderマルチチェーンは5つのブロックチェーン、およびまだ命名されていない6番目のチェーンと互換性を備えている。 次に5つのチェーン名を挙げた:
- Bitcoin
- Ethereum
- Waves
- Neo
- Lisk
Block Colliderプラットフォームでは数多くのユースケースが利用可能だが、これはチェーン間のシームレスな相互運用性を可能にしたことの直接的な結果であるといえる。具体的には分散型取引所、チェーン間のスマートコントラクト、複数の通貨を受け入れられるICO、マルチチェーン分散型アプリケーションおよびメタコントラクトなど。
Block Colliderプラットフォーム上でもっともユニークといえるデザインに、独自のマイニングおよびコンセンサスメカニズム、そして2種類のトークンモデルがある。そのトークンのひとつ(Emblem)は、創設チェーン上で一定量のトークンに対応するマクロトークンを表す。
マイニングとプルーフ・オブ・ディスタンスというアプローチ
Block Colliderプラットフォームでもっとも重要な側面のひとつは、分散化を促進するために設計されたマイニングとコンセンサスのメカニズムだ。プラットフォームは、プルーフ・オブ・ディスタンスと呼ばれるナカモト・コンセンサスの修正版を用いている。ノードは依然として、常に最長チェーンを正しいものとみなすが、プルーフ・オブ・ディスタンスは文字列編集距離に基づく新しいアルゴリズムを導入している。
このアルゴリズムは、一定のしきい値以下のハッシュのフィルタリングを、明確に定義された参照セットを用いたハッシュのフィルタリングに変更する。その後の各ブロックサイズは、「ディスタンス・バランス」をもつブロックのために動的となる。「ディスタンス・バランス」とはトランザクション距離の合計が、マイナーが所有するEmblemの量に左右され、それよりずっと少ない状態のままである状態。ホワイトペーパーで、このプルーフ・オブ・ディスタンスのより詳細な説明をチェックできる。
さらにBlock Colliderは、トランザクションマイニングとブロックマイニングを別にする新モデルを活用。ゲーム理論力学および計算構造を通じたネットワークの分散化およびセキュリティで、固有の利点がいくつかある。マイニングを通じてのみ利用可能な当該プラットフォームのトークンNRGは、トランザクションマイニングおよびブロックマイニングの報酬として獲得できる。
トランザクションマイニングではプレマイニングが可能で、マイナーがすでに発見されているブロックにトランザクションを追加することがより簡単になる。これによってマイナーが得るパワーの均衡を保つのと同時に、計算能力が高くないマイナーでもネットワークのコンセンサスプロセスに参加できるようになる。以下に、ホワイトペーパーで詳述されているふたつのマイニングシステムの基本要素をまとめた。
トランザクションマイニング
- 1ブロックあたりの勝者が多数
- ネットワークのスループットに貢献
- NRGでの手数料
- 編集距離チャレンジが基盤
- ネットワーク速度とパフォーマンスデータベースに基調
ブロックマイニング
- 1ブロック当たりに勝者は1人
- ネットワークのセキュリティに貢献
- NRGでの手数料
- 編集距離チャレンジが基盤
- ネットワーク速度とハッシュパワーに基調
ブロックマイニングおよびトランザクションマイニングを分けたメリットとして、マイナーの専門化や重複したワークの削減などがある。セキュリティ面からみてもっとも重要な点は、ネットワークの中央集権化を緩和できることだろう。 Block Collider上でそれを狙うなら、当事者がトランザクションおよびブロック双方でマイニングを操作しなければならず、実際のところ非常に難しい。
2つのトークンシステム
Block Colliderプラットフォームのもうひとつの特徴は、ふたつのトークンモデル、EmblemとNRGの使用だ。NRGはマイニングを介してのみ取得が可能な一方、EmblemはICOで入手可能だった。それぞれ上限が設定されており、Emblemは3億、NRGが98億となっている。
Emblemは「マークされたトークン」を表し、プラットフォームのマクロアセットである。基本的にはBlock Colliderに初期参加した創設チェーン上のトークンを一定量に抑え、それら保有するマイナーに特定のメリットを提供。これは、ブロックサイズのボーナスが増えるというかたちでもたらされる。先述のように、ディスタンスが特定のしきい値を下回っている限りは、ブロックに追加できるトランザクション量が一定であるために、Colliderのブロックサイズは動的だ。Emblemにより、マイナーはこのしきい値を上げることができるため、ブロックにさらなるトランザクションを追加したり、NRGを通じてより多くのトランザクション手数料を獲得できる。しかしながら、Emblemの中央集権型管理を緩和するため、NRGの保持によるリターンは減少していき、Emblem保有の限界効用は、保持しているEmblem量が少ないほど高くなることに注目されたい。
NRGは、Block Colliderによってマイニングされたオンチェーン通貨で、Ethereumでいうところの燃料的(ただしわずかに異なる)機能をもつ。これは、トランザクションを行い、マイナーに報酬を与えるための主な手数料であり、Bitcoinと同じくマイニングの報酬は時間の経過と共に減少する。
Block Colliderの利点と革新
Block Colliderの背後にあるユニークなデザインとコンセプトには多くの利点がある。ブロックチェーンの相互運用性という独創的な設計コンセプトに加えて、独特の利点が副産物として生まれた。それらを達成するため、いくつか興味深いメカニズムが新たに採用されている。
具体的には、プラットフォームのメリットとしてのマルチチェーン分散型アプリケーションとメタコントラクトが際立っている。このコンセプトは、Colliderチェーンの一部である各ブリッジチェーンが価値を交換できるだけでなく、他チェーンの現状を互いに知ることができるというもの。つまり、チェーン全体におけるスマートコントラクトの互換性に多大なインパクトを与え、かつメンバーチェーンのユニークな機能を、別チェーンのネイティブ言語で構築されたアプリケーションと統合できるようになる。加えて、これらのブロックチェーンは平行に動作できる。そして、互いのチェーンの現状を把握できる結果、別チェーンで満たされた将来の特定条件に基づいて、コントラクトを実行することができるのだ。
当該プラットフォームにおけるその他のユニークな機能には、RoversとFIXプロトコルがある。RoversはColliderプラットフォームに固有のものだが、FIXプロトコルは当該フォーム用に最適化された既成ツールだ。
Roversは、ブリッジチェーンのマイナーが、Colliderチェーンに追加されたブロックの遅行を防ぐ処理をするマイナーを後押しするのを助ける。Roversはいずれ、マイナーのために重要な役割を果たすネットワーク参加者の一階層になる可能性がある。Roversはマイニングのアプリケーションへ自動的に組み込まれ、マイナーはこれを使用することでインセンティブを獲得できる。
FIXプロトコルは、証券トランザクションおよび市場に関する情報のリアルタイムな交換のためのツールだ。この既成プロトコルの実装で、トランザクションに関連する情報と、ネットワーク内のブロックに追加されるトランザクションのレートがディストリビュートされる。さらにこのプロトコルは、全ブリッジチェーンの情報を含む、ネットワーク全体のデータフィードとして機能し、最適な一連の情報および分析を提供する。
結論
Block Colliderプラットフォームの潜在性は、すでに利用可能な彼らのリソースを分析することで明確に理解できる。 彼らはまだ積極的にこのプラットフォームをマーケティングしていないが、ICOでは予想を大幅に上回る反応があった。新しいプラットフォーム提供の野心的なロードマップで、有望な第一歩を踏み出したといえるだろう。
スケーラビリティおよび分散型ネットワークセキュリティとともに、より大きな仮想通貨空間における同期的な懸念は特殊化した。おそらくBlock Colliderのようなマルチチェーンプラットフォームは、相互運用性とブロックチェーンの接続性をめぐるシームレスな環境へ向けて導入されるソリューションを提供していくことになるだろう。