9月4日のブロックラビットの翻訳記事「ビットコインのセカンド・レイヤー:Rootstock (RSK)について」で、ビットコインにスマートコントラクトを実装させようという試み、「RSK」についての記事をお届けしました。RSKとは、簡単に言ってしまえばサイドチェーンという技術を応用して、ビットコインのブロックチェーンに接続された、スマートコントラクト対応プラットフォームのことです。

本記事の中で、RSKチームは大きなビジョンを持って活動していることを具体的にご紹介しました。それはデベロッパーのコミュニティー向けサービスで、ネットワーク名はRIF OS。何がすごいのかというと、Dappsを作ろうと思ったデベロッパーが、RIF OSさえあればアプリの作成に集中できるという点。コンピューターエンジン、ストレージレイヤーほか、アプリ作成周辺で必要なものを自分で一から作る必要がないのです。

そして、こうしたほとんどの分散型インフラサービスに、単一のトークンであるRIFを用いることができます。必要な各サービス(コンピューターエンジン、分散型データベースおよびインデックス、ストレージレイヤー)ごとに、デベロッパーが異なる通貨を保有しなくて済むので、非常に効率的です。そのうえ、スマートコントラクトエンジンはイーサリアムと両立できます。要するに、デベロッパーがサービスを作れるような環境をRIF OSが整えてくれているのです。

このように、RSKの強みはビットコインネットワークの恩恵を受けたセキュリティー、そしてビットコインとの連携、安定性、費用対効果の高さなどにあります。ビットコインとの共生関係は、特にRSKの成功のキーとなる強みですが、これまではそれがそのままイーサリアムとの競合関係にも繋がりうるという相関関係がありました。

そこで今回ご紹介したいのが、Bitcoin Magazineの11月18日付の記事。RSKが同じ創設者を有するRIFというラボと合併し、イーサリアムをはじめとするスマートコントラクト対応プラットフォームとの相互運用性の扉が開いた、という内容です。創設者Diego Gutierrez-Zaldivar氏の言葉を多く引用しながら、具体的にその可能性について解説しています。

元記事「RSK Merges With New RIF Labs, Opens Potential for Increased Interoperability

RSKとRIFの統合で相互運用性向上の扉が開く

Bitcoinネットワークを使ったスマートコントラクトのプラットフォームRSK(Rootstock)が、その創設者たちが始めた別会社RIFラボと合併する。このパートナーシップにより、Ethereumへもその根を広げる可能性が生まれた。

RSKの最高経営責任者Diego Gutierrez-Zaldivar氏や最高責任サイエンティストSergio Demian Lerner氏などの創設者陣により設立された開発ラボRIFにRSKが買収されたかたちだ。両氏ともRIFと同様の役割を担う予定。

「RIFラボの創設者は、Alex Aberg Cobo(RIF最高財務責任者)、Malcom PaleおよびJoey Garcia(顧問)など、金融や法律の分野で数十年の経験で名を成したプロフェッショナルたちです」と、Gutierrez-Zaldivar氏は語る。

その前身と同様に、RIFはスマートコントラクトにこだわったブロックチェーンのインフラを開発しており、RIF OSのRSKサービスへの統合に伴い合併の運びとなった。

しかし、この合併は単なる買収ではない。 RSKが将来、その他のスマートコントラクト対応プラットフォームとやりとりができるようなRIF OSのフレームワークとして、相互運用性の扉を開くものだ。

 

相互運用性に向かって

RIF OSのRSK実装で何が可能になりそうかとの問いに、Gutierrez-Zaldivar氏は、RSKネットワークの「上位レイヤー」とされるRIFがRSKのスマートコントラクトを活用して、特定のP2Pサービスを実行すると答えた。しかし、RIFの素晴らしい点は、これらのサービスが、RSKのスマートコントラクトが現在サポートしているBitcoinおよびEthereumブロックチェーンを超え、その他のプラットフォームにも拡大する潜在性を秘めた点にある。

「RSKテクノロジーは、Bitcoinネットワークによって守られたスマートコントラクト実行のための公開プロックチェーン構築に重きを置いていますが、RIF OSはP2Pインフラサービス(データストレージ、決済チャネル、インタラクティブなネーミングソリューション、安全なコミュニケーション、オラクルサービス)の構築にフォーカスしています。履行に失敗した場合に備えて、サービスレベルの合意を実行するため、 RSKスマートコントラクトに依拠していますが、そうでなければ純粋にP2P方式で動作します。」

「[これらの] P2Pインフラサービスは、今後、他のスマートコントラクト対応プラットフォームにも拡張できる可能性があります。このように、両プロジェクトの強力な相乗効果が理由で、RIFはRSK を買収することにしたのです。」(Diego Gutierrez-Zaldivar)

RSKインフラと連携してRIF OSをRSKに統合すると、サイドチェーンやその他のブロックチェーンとの間に技術的なブリッジを構築できる。Gutierrez-Zaldivar氏は、これらの目に見える改善で業界の分断に一部対応できると考えているようだ。

「ブロックチェーン、分散型技術、デベロッパーの間にはギャップが存在します。 それから俗に言うスケーラビリティとトランザクションコストの問題。基本的に、この新プロジェクトはこうしたギャップの橋渡し役になるものです。」

RIF(RIF OSのトークン)は、このブリッジ構築に向けた最初のステップだ。

このトークンは、Ethereum上でスマートコントラクトのトークンを作るのに、もっとも一般的な標準であるERC20と互換性がある。ユーザーは、RSKサイドチェーンのネイティブトークンsmartBitcoins(RBTC)にアクセスするのと同じ方法で、このトークンにアクセスできる。ただし、 RIFの作成や回復のためにbitcoinを出し入れする代わりに、RBTCがRIF鋳造に使用される。チームは二次取引市場がこのトークンに対しても確立されることを期待しているという。

直近では、RIF OSがRSK上で付与しているアプリの上位レイヤーに燃料を供給するために、RIFが使用されることになる予定だ。

Gutierrez-Zaldivar氏は、RIF OSプロトコルの最初の実装、いわゆるRoot Name Serviceという「ディレクトリサービスが最初から動作することになる」と語る。しかしRSKは、オフチェーン決済チャネル、(SiacoinやIPFS / Filecoinとは異なる)分散型データストレージマーケットプレイス、オラクルマーケットプレイス、匿名トランザクションのためのエイリアスアドレスなど、上位レイヤーに一連のオフチェーンサービスを構築している。

これらの機能がすべてRSKで直接利用できるようになるとGutierrez-Zaldivar氏はいうが、一方で「将来[ユーザー]はRIFをEthereumに移すかもしれない」と指摘した。

しかしRSKは、BitcoinとEthereum間の双方向機能だけにとどまらない。RIFは「ポータブルなトークン」だというGutierrez-Zaldivar氏は、RSKの長期的な目標は、「スマートコントラクト対応のあらゆるブロックチェーンから、こうした分散型サービスを消費する」能力をユーザーに提供することだと述べた。

また、RSKの機能を他のプラットフォームに拡張しても、Bitcoinベースレイヤーのプロジェクトのロイヤリティを危険にさらすことはないと同氏は強調。bitcoinと1:1のパリティを持ち、RSKサイドチェーンに電力を供給するRBTCは、引き続きトランザクションに使用され、RSKのネイティブスマートコントラクトもサイドチェーン上で動作する。

「RBTCの仕組みは変わりません。RSKがBitcoinエコシステムと完全に一致し続けることを私たちは非常に重要だと考えています。今やRSK上で実行され、トランザクションのためにRBTCを消費している分散型インフラの市場があるのですから、ネットワークへの使用量を増やすだけのことです。だから、スマートコントラクトはまだRBTCで実行されます。 RIFで消費されるインフラの上位レイヤーです。」

RIF OSの実装には、ブロックチェーンに精通していないデベロッパーが、RIF OSのオンボーディングサービスを従来のプラットフォームに容易に組み込めるよう、JavaやC#など従来のプログラミング言語のライブラリも含まれる予定だ。Gutierrez-Zaldivar氏は橋渡しの比喩を再度持ち出し、これによりRIF OSが主流派にアピール力を発揮することを望んでいると語った。

「分散型インフラやテクノロジーについては何も知らない従来のデベロッパーが、どのように機能するのか理解せずとも、このライブラリを彼らのアプリにプラグインし、ファイルストレージやオフチェーン決済を活用することができます。だからこそ私たちは、このレイヤーが今日のベースインフラと従来のデベロッパーのギャップの橋渡しになると考えているのです。」

 

インクルージョンのビジョン

Gutierrez-Zaldivar氏は、RIF OSの統合は使いやすく統一されたエクスペリエンスをユーザーに届けるという「[チームの]ボジョンの一環」だとしながら、仮想通貨およびブロックチェーンを使ったアプリをより身近なものにすることが最終的な目標だと強調している。

そしてこのビジョンは、クリプトコミュニティで今現在活発なものの先を見越している。主にbitcoinのような分散型通貨を必要とする人に目を向けているのである。

Gutierrez-Zaldivar氏は、「私たちが構築したすべての技術には大きな目標が1つ共有されていて、それはファイナンシャルインクルージョン(金融包括)の実現です」と付け加えた。彼はアンバンクト(銀行にアクセスを持たない)な人びとが、RSKと今後のサービスの恩恵を最初に受けるだろうと信じている。

Lumino(RSK版Lightning Network)などのアプリがこうしたアンバンクトな人びとに経済上の自由をもたらし、分散型データストレージなどのRIFアプリを通じて、現在は手の届いていないインターネットサービスへ、代替的にアクセスできるようになることを想定しているのである。

アンバンクトへの揺るぎないコミットメントは、アルゼンチンベースのRSKらしいともいえる。同社は時に忘れさられた仮想通貨使用の震源地、ラテンアメリカを拠点にしている。国家経済崩壊の中で経済的安定のキーとして、仮想通貨の人気が高まっているベネズエラのような国もある。同地域は、経済的に恵まれない層のための分散型通貨として、Bitcoinの主要なユースケースを体現しているのである。

RSKはその能力を拡大させていくなかで、これら不利な地位にある人びとを常に念頭において成熟し続けるだろう。もし、このプロジェクトが彼らの経済的な生活を豊かにすることができれば、このような包括的システムが世界中の人びとの新基準になっていくと信じる理由になると、Gutierrez-Zaldivar氏は語る。

「もしアンバンクトな人たちのために役立つのなら、それは他の誰のためにも役立つということでしょう。アンバンクトの環境はもっとも過酷です。お金がなく、経済上の安定はなきに等しい。もし私たちがこの技術をアンバンクトな人たちにもたらすことができれば、誰もがその恩恵を受けることになるのです。いつも私が言っているように、既存システムではその準備が整っていないので、今そこにアンバンクトを包括することは考えられません。本質的に排他的なものですから。だからこそ、私たちは本質的に包括的な金融システムを構築したいのです。」

参照リンク:「RSK BLOG:One Step Closer To The Internet Of Value Realization!

 

お知らせ

いかがでしたか?金融包括を世界規模でもたらしたいという大きな使命を胸に躍進をつづけるRSK・RIFの動きから今後も目が離せそうにありませんね。ブロックラビットでも今後新たな動きがあるたびに様々な角度からレポートしたいと思います。
そこでこのRSKワークショップを来年1月に東京で主催することになりました!2日間の日程で、トリレンマといわれる「スケーラビリティ」「セキュリティ」「分散型自律性」問題を一気に解決する可能性のあるプロジェクトRSKを少し専門的な視点でつきつめようという試みです!
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