ブロックチェーン+サプライチェーンの最新事情をNYから (2018/9/17 meetupレポート@ NY)

皆さま、こんにちは!ブロックラビットのカゲです。ブロックラビットの本拠地、NYで開催されるブロックチェーンのイベントをどんどんご紹介していきます!

今回のミートアップは9/17に行われた「ブロックチェーン+サプライチェーン」です。

サプライチェーンとは原料の段階から製品、またはサービスが消費者の手に届くまでの全プロセスのことですよね。ブロックチェーン技術の活用は、仮想通貨に焦点が当たりがちですが、今回は実社会に通用するサプライチェーンでの使い方について、熱いトークが行われました。スピーカーにIBMやコンセンシスの方が登壇されたこともあり、100名を越す参加者で満員!

IBMといえば、最近面白い記事を読みました。

IBMはブロックチェーン技術に大きく賭けている。それはリスクなのか?

IBMでは多くのブロックチェーン関連のプロジェクトを行なっています。船積み、銀行手続き、医療、食品の安全などの業界で500を超えるプロジェクトが動いており、コロンビア大学と提携してブロックチェーン技術のさらなる活用方法を研究しているそうです。

「“現在のニーズではなく将来のニーズを満たすために、IBMは技術革新の失敗のリスクを恐れずに新しいプロジェクトを進めます。”(IBMタッカー氏)
これには2つの課題があり、テクノロジーの理解と必要とする顧客の発掘。そして業界間で拡張することができる、標準化されたシステムの構築をハイパーレッジャーと取り組んでいます。」とのこと。

それでは当日の様子をご紹介しましょう!

スピーカーの紹介

Phil Kelly

PhilさんはConsenSysのソリューションズ事業開発部長です。ブロックチェーン、AI、クラウド、セキュリティ、分析などの技術に基づいたビジネス開発と販売を行っています。

Lucas Henning

LucasさんはCitizen Reserveのシステムアーキテクトリーダーです。

Citizen Reserveはブロックチェーンテクノロジー企業で、金融サービス、サプライチェーン、ブロックチェーン、テクノロジーのプロ集団によるビジネスの変革を目指すプラットフォームです。

Thad Eidman

Tadさんはサイバーセキュリティの会社Corservaなどを経て、昨年Acretoの執行最高責任者になりました。Acretoは、暗号ベースのIoTプラットフォームのセキュリティプロバイダー会社です。AcretはloTセキュリティのスタートアップで2018年技術会社のトップの賞を受賞しました。

Tiffany Chen

TiffanyさんはIBMのブロックチェーンのリード開発者です。 iOS開発やモバイルアプリケーション開発、Javaなどを行っています。

Meetup会場 Rise New York

今回の会場は地下鉄23ストリート駅と先日の「IOTAって今どうなってるの? IOTA MEETUP NY レポート(9/6/2018)」でもご紹介したGeneral Assemblyの近くのNYのアイコンのひとつ、フラットアイアンビルからも近いRise New Yorkで開催されました。フィンテックの会社がデザインしたカフェやワークスペースが備えられているおしゃれでユニークな場所です。

Q&A

7時スタートで15分遅れで行ったら、既に会場のみなさんとのディスカッションタイム。というか1時間近くのミートアップのほとんどの時間、Q&Aのディスカッションが行われました。今回の参加者は農業や車のディーラーなど独自のビジネスを展開されている方が多く、ブロックチェーンをどうサプライヤーに利用していくか、次々に質問が投げかけられました。絶え間なくお客さんとスピーカーがディスカッションするなんて、こんなミートアップはアメリカならではではないでしょうか?

はじめにイーサリアムのConsenSysとハイパレッジャーのIBMの2者が登壇している会ならではの面白い質問が出ました。


Q1

イーサリアムとハイバーレッジャー、2つの関係はどうなのでしょう?

A)Tiffany

IBMではハイパーレッジャーというプロジェクトの傘の下にFabricや沢山のプロジェクトがあり、イーサリアムや他のブロックチェーンと連携するようなシステムづくりにも現在取り組んでいます。


Q2

ブロックチェーン技術をサプライチェーンのどういうところに使えばいいの?

A)Thad

マニュアルな作業をいかに自動化するかがポイントです。例えば原料を運ぶ、材料を選ぶ、商品を作る、商品をスーパーに並べる、商品をレジに持っていく、レジでバーコードをスキャンする、家まで運ぶ。といった作業におけるデータ入力、トラッキングをブロックチェーンとIoTを活用して自動化していけるのではないでしょうか。

A)Tiffany

例えばアイスクリーム屋さんで考えてみましょう。アイスを作るには、牛乳、卵などたくさんの材料が必要ですが、それらの原料はどこから来たのでしょうか。これらをブロックチェーンで管理して、製造元を確かめることができます。ただ、気をつけていただきたいのは、ブロックチェーンが何でも解決できる魔法のようなソリューションではないということです。農業において、例えば種から芽が出ないとか、湿度の問題など、ブロックチェーンが解決する問題ではない部分もあるということです。これを理解した上で、うまくブロックチェーンを活用していきたいですね。

A)Phil

サプライチェーンにおいてブロックチェーンを活用するなら、ハイバリューの商品が向いていると思います。付加価値をつけられるというのがポイントです。


Q3

どういったビジネスチャンスがあるのでしょうか。

A)Lucas

ブロックチェーンを使うことによって、いろいろな業種の会社がビジネスに参入できる機会を得ることができますね。先に他のメンバーが言ったように、運んだり、選んだりと、必要になる複数の業種が繋がって1つのルートの仕事となります。ブロックチェーンを使って、複数の業種のうち、生産部分は生産専門の会社が請負い、デリバリーについては、デリバリー専門の業者がピックアップされオーダーできる仕組みを作るといったことができると思います。


Q4

IBMのTiffanyさんにお聞きしますが、Microsoftは競合他社でしょうか?

A)Tiffany

そう言えると思います。

A)Lucas

競合について言えば、ここ数年、特に昨年は、数多くの仮想通貨が新しく作られました。その数は数百ではきかないでしょう。でもみんなが競合しすぎて、まとまりがないように感じています。中でもイーサリアムベースでERC20トークンを使って沢山のプロジェクトで互換性がきくようにしていたり、そういった動きは今後さらに注目されると思います。では今後どうやってまとまっていくのか、という問題はPolkadot(イーサリアムを含む複数のチェーンを繋ぐマルチチェーン)がいい例になると思います。

100名を越す参加者がいて、さらにずっと質問が絶えない、というmeetupは本当にNYならではといった印象を受けました。皆さんもNYに来られる際には、覗いてみられてはいかがでしょうか?

これからも注目のミートアップを追いかけていきます!

ブロックラビットではニューヨークに限らず海外のブロックチェーン事情を伝える為に、実際に現場に取材をしてお届けしております。ご質問などありましたら、いつでもブロックラビットのテレグラムチャンネルでご連絡ください!

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