流動性プールに預けることが不労収入を得るための有利な手段となっています。暗号資産の保有者は、自分の資産を流動性プールに預けることで、分散型取引所(DEX)に流動性を提供します。その対価として、DEXは取引が発生したことで徴収した取引手数料を流動性提供者(流動性プールに資産を預けている人)に渡します。ここで注意すべきことはインパーマネントロスです。インパーマネント・ロスとは、流動性プールに預託された資金に発生する流動性供給者が被る損失のことです。
プールに預けられた資産の価格が変動した場合に発生し、その変化が大きければ大きいほど、インパーマネント・ロスも大きくなります。インパーマネントという用語は、まだ実現していないという意味で、流動性供給者が資金を引き出した時点で損失が確定し、前記のインパーマネント・ロスはパーマネント(永久不変)になります。つまり、流動性プールに預けた比率と、流動性供給者が資産を受け取る比率が異なるために発生するのがインパーマネント・ロスです。
ユニスワップやスシスワップのような分散型取引所(DEX)には、中央集権型取引所のようなオーダーブックはありません。プラットフォーム上の流動性を確保するために、これらのプロトコルは流動性プールを保有しています。誰もがプールに資金を預けることができ、そしてプラットフォームに流動性を提供することができます。流動性を提供する代わりに、そのプラットフォームは取引所の売買手数料を流動性提供者と共有します。プール内の資産の比率を考慮したアルゴリズムは自動マーケットメーカー(Automated Market Maker :AMM)と呼ばれています。
流動性プールの構造
流動性プールは、プール内のおいて2つのトークンの価値が等しくなるよう同等のウェイトを置いた資産で構成されています。例えば、BNBトークンの価値が400ドルだとすると,BNB/USDTプールは、BNBトークン1個に対して、400USDTを預ける必要があります。これにより,両トークンの価値が1:1に保たれます。AMMのアルゴリズムは,この比率が常に維持されるように動作します。
1ヶ月後、マーケットでBNBの価格が25%上昇して500ドルになったとします。分散型取引所(DEX)の価格は、市場の影響を受けないのでUSDT 400のままです。この価格の非効率性は、BNBの価格が他の市場の価格と等しくなるまで、裁定利得の機会を生み出します。つまり、裁定者は、分散型取引所(DEX)の安いBNBを購入して別の場所で売ります。このプロセスは、BNBの価格がUSDT 500になるまで、流動性プールの資産の比率を変化させ続けます。この売買行動により、プール内の BNB と USDT の比率が変化し、この資産を引き出す際には、預けられた時の比率(1:400)が異なるものになります。
詳細の計算は省略しますが、資金を引き出すと0.875 BNB と 437.5 USDT を受け取る計算になります。(1 BNB=500ドルとして計算、比率は1:1)
これを全体で計算をすると、800ドル分の資産を預け、1ヶ月後に875ドル分の資産を受け取ることになります。しかし、そのままガチホしていた場合は900ドルの価値になっていたはずなので、実質25ドル(900ドル – 875ドル)の損失を計上することになります。ここで注意すべきことは、インパーマネント・ロスは価格の上昇だけではなく、価格の下落によっても起こるということです。つまり、価格の変化の割合が大きいほどンパーマネント・ロスはより顕著になります。そのため、プールに預ける際はステーブルコインでの流動性供給が推奨されることが多いです。
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BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第596話からのターン。バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきます。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。