クリプト訪ねて三千里:第1268話
MapleがShopifyをモデルとしたオンライン仮想通貨ビジネスのツールを作成

クレジットファシリティサービスを運営するMaple Financeが、ビットコインマイナーのために3億ドル規模の仮想通貨貸付プラットフォームを作成したと発表した。

 

これは、現在の弱気市場で利益を上げるのに苦労しているマイナー達が、貸付という新たな手法を持つことを意味する。しかし、このサービスを利用するためには、利用者は最大20%の利子を払わなければならない。

 

同社の共同創業者兼CEOのSidney Powell氏は、Messari Mainnet 2022で、利用者がこの金利を受け入れることができるのは、資金調達の選択肢が限られており、従来の銀行が仮想通貨にフォーカスした企業との取引にほとんど興味を示さないからだと語った。

 

Powell氏は、この特定の顧客層を「ミドルマーケット」と呼び、メイプルの糧となっています。彼はこの顧客層を次のように定義している。「ベンチャーキャピタルの資金調達を超えたが、まだ規模が小さすぎる会社で非上場。数十億ドルの会社ではないが、仮想通貨のようなニッチな分野で活躍する可能性がある企業」

 

しかし、Maple Financeの興味深い点は、マイナーがが流動性を得るのを助けることではなく、どのようにそれを行うかという点である。

 

Mapleは銀行のような機能を持ち、運営されるが、銀行ではない。実際には、Mapleは企業が利用できる貸付サービスで、企業が仮想通貨をプーリングしながら借り手を見つけることのできるウェブサービスである。

 

例えば、今回の3億ドルのプールがIcebreakerという企業によってプーリングされているとする。この例ではIcebreakerはpool delegateと呼ばれ、pool delegateの役割は①出資を行いプーリングする ②自身の責任で借り手を選び、相手に資金を貸し出す。というものだ。

 

Powell氏は、「このシステムはShopifyと類似している。ShopifyはEコマース企業たちに自身のオンラインビジネスをセットアップし、運営するツールを与えているだけで、実際に彼らのビジネスについて何か関与しているわけではない。Mapleも同じで、貸付業者に貸付サービスをセットアップするツールは与えるが、それ以降には関与しない。誰にどれだけ貸し出すかというのは、pool delegateの責任であり、役割となっている」

 

DeFiプロトコルのように、プラットフォーム自身が直接的に資金をプーリングして貸し出すのではなく、Maplehはあくまでそのようなビジネスを行えるプラットフォームを提供しているだけである。GAFAも同様で、世界最大級の企業は何か製品を売るのではなく、製品が売れる場所を作るという側面を持つ。今回のMaple Financeはそのような概念を、仮想通貨というニッチな市場にフォーカスした形で実現した例となる。

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第924話からのターン。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場します!
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第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。

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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。

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