クリプト訪ねて三千里:第1354話再保険 Reinsurance とは

この記事を読んでいる方で、「再保険」という言葉を聞いたことがある方はいるだろうか。

保険は通常、保険に加入する企業や個人という被保険者側と、その被保険者に補償を提供する保険会社の2つのサイドがある。しかし、保険会社もまた一企業である。では、補償する側の保険会社は、自身が被保険者になることはないのだろうか?答えはNOである。

保険会社もほかの会社の保険に入ることがある。これを再保険という。保険会社は顧客側が不測の事態で高額の支払いを迫られたとき、それを救う役割を果たす。言い換えれば、保険会社は自身の顧客が抱える将来のリスクを全て引き受けている。そこで、保険会社は高額の保険金支払いに見舞われた際、どの程度であれば自社でその補償をサポートできるか判断したうえで、引き受けた保険契約上の責任の一部またはすべてを他の保険会社に引き受けてもらう。こうすることで、実質的に保険会社自身が抱える顧客側のリスクを分散することが可能だ。

被保険者と保険会社は保険契約を結ぶ。そして、この保険会社は元受保険会社と呼ばれる。この元受保険会社と再保険会社が、被保険者とは独立して行う全く別の契約が再保険契約である。

被保険者は不測の事態で高額な支払いを迫られたとき、その支払いの責任を元受保険会社に転嫁する(保険金で代わりに支払ってあげること)。この時、支払いの責任をもらった元受保険会社は、さらにその責任を再保険会社に転嫁し、再保険会社は元受保険会社に再保険金を支払う。そして、再保険金を受け取った元受保険会社は、我が物顔で被保険者に保険金を出してあげるのだ。しかし、先ほども述べた通り、再保険契約はもともとの保険契約とは全く別のものであるため、元受保険会社は再保険会社から受け取って支払おうと思っていた損害が発生した時、再保険会社から再保険料を受け取れなくても、もともとの保険契約に基づいて発生した補償義務を免れることはできない。

保険会社は常に保険料を支払えるよう、キャッシュを持っており、これは「責任準備金」policy reserveと呼ばれる。しかし東日本大震災のように地域的に大規模な災害が起きたとき、一時的に保険会社は支払い量が増大する。保険会社は顧客から受け取った保険料は証券等に投資して運用しているため、必ずしもキャッシュ多いわけではない。責任準備金では一時的に増えた支払い責務を処理しきれないとき、再保険料を受け取ることでこれをカバーできるのだ。不測の保険を支払うための保険といったところだろうか。

再保険会社は、保険会社と違い企業や個人のリスクを直接的に抱えるわけではない。元受保険会社が抱えきれなくなりそうなリスクの一部を、もしもの時に支えるイメージである。そのため、再保険会社は元受保険会社の危機がなければ、保険料を受け取り続けて利益が得られるという仕組みである。

さらに再保険会社が加入する再々保険なども存在しており、責任の転嫁は鎖のように続いている。

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