クリプト訪ねて三千里-第1410話-主要9チェーン徹底比較:特徴・ステーブルコイン普及・DeFi将来性

Web3の進化に伴い、さまざまなブロックチェーンが独自の設計思想と技術的強みを活かして、それぞれのエコシステムを形成しています。なかでも注目すべき9つの主要チェーン(Tron、Avalanche、TON、Solana、Arbitrum、Polygon、Base、Ethereum、BSC)は、それぞれ異なる地域やユーザー層を背景に発展しており、多様なユースケースとアプリケーションを生み出しています。各チェーンには、設計思想や技術構造の違いがあり、これがアプリケーションの得意領域やスケーラビリティに直結しています。また、主に採用されている国や文化的背景もそのチェーンの成長方向や提携先に大きな影響を与えています。

それぞれのチェーンでは代表的なDAppsやユースケースが明確に異なり、送金、ゲーム、金融、ソーシャルなど多様なニーズに応じた進化を遂げています。ステーブルコインの普及度についてもチェーンごとに偏りがあり、USDTの活用が圧倒的なTronや、ネイティブUSDCが強いSolana・Baseなど、用途による選好の違いが見られます。各チェーンで展開されるDeFiアプリの傾向と将来性についても、中央集権型に近い設計でユーザー導線を重視するBaseやBSC、高速性とUXを追求するSolana、L2拡張を軸に成長を続けるArbitrumやPolygonなど、進化の方向性は多岐に渡っています。今後、これらのチェーンは相互運用性やユーザー体験の最適化といった次のステージに進むと同時に、特定分野での“勝ちパターン”がより明確になっていくでしょう。Web3の本格普及に向けて、それぞれの強みをどう生かすかが問われる時代に突入しています。


1. Tron(TRX)

  • 特徴:高速・低手数料、USDT送金用途に特化

  • 国・地域:アジア(特に中国)中心の普及

  • 代表アプリ:JustLend、SunSwap、USDT送金プラットフォーム

  • ステーブルコイン:USDT(TRC-20)が圧倒的に普及

  • DeFi傾向:貸借・AMM中心、実需重視

  • 将来性:DeFiではやや停滞気味だが、国境を越えたUSDT送金で根強い需要あり


2. Avalanche(AVAX)

  • 特徴:サブネットでアプリ特化型チェーンが作れる構造

  • 国・地域:米国を中心に技術志向の開発者に支持

  • 代表アプリ:Trader Joe、Struct Finance、Subnet活用プロジェクト(DeFi Kingdomsなど)

  • ステーブルコイン:USDC.e、USDTは中程度の普及

  • DeFi傾向:金利最適化、構造化商品など高度化進む

  • 将来性:企業やゲーム領域に強みあり。機関向け採用事例も増加中


3. TON(The Open Network)

  • 特徴:Telegramとの連携を前提とした設計、UXに優れる

  • 国・地域:ロシア、東欧、インドなどTelegramが強い地域

  • 代表アプリ:TON Space(Telegramウォレット)、Tonkeeper、tap-to-earn系ゲーム

  • ステーブルコイン:まだ限定的、USDTも導入されたばかり

  • DeFi傾向:黎明期。TelegramネイティブなUXが強み

  • 将来性:Telegramの月間アクティブ10億人を活用できる点で極めて高いポテンシャル


4. Solana(SOL)

  • 特徴:高速・低手数料。独自VMと高性能ネットワーク

  • 国・地域:米国・アジアの開発者に人気。NFT文化も強い

  • 代表アプリ:Jupiter、Meteora、Drift Protocol、Tensor(NFT)

  • ステーブルコイン:USDC(ネイティブ)、UXDなど

  • DeFi傾向:高速取引対応のDEXや注文板型プロトコルが発展

  • 将来性:スマホ(Saga)、ローカルUX強化、dApp集中で独自圏を形成しつつある


5. Arbitrum(ARB)

  • 特徴:EthereumのL2として安定性と拡張性の両立

  • 国・地域:グローバル(北米・欧州開発者中心)

  • 代表アプリ:GMX、Radiant、Camelot

  • ステーブルコイン:USDC、USDT、DAI等が充実

  • DeFi傾向:レバレッジ取引やマルチチェーンDeFiが主流

  • 将来性:エンタープライズ活用も期待、Arbitrum OrbitでL3展開へ


6. Polygon(MATIC)

  • 特徴:EVM互換と多様なスケーリングソリューション(PoS、zkEVM)

  • 国・地域:インド系スタートアップを中心に、アジア全域

  • 代表アプリ:QuickSwap、Aave(Polygon支部)、Lens Protocol(SocialFi)

  • ステーブルコイン:USDC.e、USDT、MAIなど多数

  • DeFi傾向:スケーラブルなUXで幅広い層に支持、ゲーム・NFT強い

  • 将来性:zk技術で再成長。企業提携(Starbucks、Nikeなど)も加速


7. Base

  • 特徴:Coinbase発のEthereum L2。初心者向け導線が強力

  • 国・地域:主に米国(Coinbaseユーザーが多い)

  • 代表アプリ:friend.tech、Aerodrome、BasePaint

  • ステーブルコイン:USDC(ネイティブ)が中心

  • DeFi傾向:SocialFiや新興アプリが多く、実験場としての色合い

  • 将来性:Coinbaseの後押しにより初心者層の導入口として期待


8. Ethereum(ETH)

  • 特徴:スマートコントラクトの元祖、最も成熟したエコシステム

  • 国・地域:全世界(とくに欧米中心)

  • 代表アプリ:Uniswap、Aave、MakerDAO、Lido

  • ステーブルコイン:USDC、USDT、DAIなどすべての中心

  • DeFi傾向:本流のDeFiが集中、インフラ層としての安定感

  • 将来性:L2・Rollupとの連携前提にさらなる拡張へ(Dankshardingなど)


9. BSC(BNB Smart Chain)

  • 特徴:中央集権色の強い高速チェーン、Binanceと一体運営

  • 国・地域:グローバル(とくにアジア圏、Binanceユーザー多い地域)

  • 代表アプリ:PancakeSwap、Venus、Alpaca Finance

  • ステーブルコイン:USDT、USDC、BUSD(縮小中)

  • DeFi傾向:手数料の低さと使いやすさで新規参入向けが多い

  • 将来性:マスアダプションに強いが、完全な分散性には課題あり


🔮 総括:どのチェーンに注目すべきか?

チェーン名 将来性 特筆すべきポイント
Solana ★★★★★ UX性能と実需アプリの集中
Ethereum ★★★★★ 本流の基盤として不動の地位
TON ★★★★☆ Telegram連携による爆発的普及可能性
Arbitrum ★★★★☆ DeFi継続成長、L3構想も
Base ★★★★☆ Coinbaseからの導入導線
Polygon ★★★★☆ zkで再注目。企業提携が強み
Avalanche ★★★☆☆ サブネット活用の進化に期待
Tron ★★☆☆☆ 実用送金に特化も拡張性に限界
BSC ★★☆☆☆ 初心者向け強いが分散性課題あり

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BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。

第1338話から。執筆者の事業展開を定期的にご報告します。DAO「分散型自律組織:ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織」の考えの下、金融、ウェルスマネジメント、暗号資産、DeFi、NFTのビジネスのネタをお届けします。独創性あふれる生きた情報をお届けいたします。コラボ歓迎!!執筆者への個別メッセージも可能です。どの執筆者宛かを記載し、内容とともにhello@blockrabbit.ioに直接コンタクトを下さい。*フォーム問い合わせでもリーチ可能です。

第924話~第1337話まで。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場!ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムもあり、アメリカ発の最新情報など絶妙な情報をお伝えしてきました。

第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。

第1話~第595話まで
現在の実体経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。

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