10月28日、GAFAの一角であり、世界最大のSNSプラットフォームで知られるFacebookが社名の変更を発表した。その名も”Meta”(メタ)である。Facebookの生みの親である、マーク・ザッカーバーグは、これは単純な社名の変更以上に、その企業としてのSNSプラットフォーム中心の事業から、Metaverse (メタバース)構築に向けた会社の野心と大きな方向転換を示しているという。
実はFacebookだけに留まらず、SNS、ゲーム、ファッション、NFTといった多くの分野において、メタバースの構築や、その仮想世界におけるデジタルアセットを用いたビジネスが生まれてきている。
マイクロソフトは、11月2日にVR技術を用いて、ユーザーがアバターとなって仮想空間で会議を行える”Mesh for Teams”を発表した。更に同日に、NIKEは同社のバーチャルアイテムの商品登録を米国特許省庁に申請したと報道された。これが認可されれば、誰もが知るNIKEマークはメタバース世界においても同様のブランドを保持することが可能となる。
本稿ではそんな今ホットなメタバースの可能性を、Facebookの描くビジョンを例として見ていきたいと思う。
そもそもMetaverse(メタバース)って何?
メタバースという言葉は、SF小説に登場したインターネット内の仮想世界を表す言葉で、メタ(超越した)とユニバース(宇宙)を組み合わせてできた造語である。
メタバースは、インターネット上に存在する、現実世界と同じようなボーダーレスで三次元的な世界を意味する。メタバースの登場により人々は、自分自身の分身であるアバターを操作し、友人と共に出かけ、ゲームをプレイし、好きなアーティストのLiveを見るといった、現実世界に限りなく近い体験をすることが可能となった。
Facebookの描くメタバース世界
10月29日に行われた”Facebook Connect”において、ザッカーバーグはFacebookの描くメタバースにおけるユーザーの体験、そして同社の開発しているAR、VR技術を世界に向けて披露した。
そこで描かれていたのは、部屋でInstagramを見ながらくつろぐ女性がVRヘッドセットを装着、友人が投稿していたコンサートに参加し、バーチャルショップでショッピングを楽しむ姿であった。それはまさに誰もが一度は想像したことのある、少しかわいいマトリックスの様な世界だ。コンサートだけではない、現実ではありえないようなゲームや、建物を一瞬で建てたりと、文字通り何でもありな世界を彼らは描いていた。
メタバース経済圏
Facebookの描くメタバース世界は、NFTを用いてデジタルアセットに価値を持たせることにより、全く新しい経済圏を創り出す。データでありながらも、その存在の唯一無二性を保持するNFTは、メタバースと非常に相性が良い。物質的制約に縛られないユニークな商品を、世界中の誰にでも提供できるうえに、VRを用いたよりリアルなNFTは、椅子に座ってモニターに表示されるNFTよりも遥かに大きな価値と感動ををユーザーに与えることができるだろう。アバターとなりメタバースに存在するユーザーにとって、NFT商品は現実世界と同じようなショッピングをする楽しみや、映画を見て感動するといった、様々な体験をもたらしてくれるものとなる。
これまでのビジネスは地理的制約からは中々脱することができなかった。特にファッションや家具といった物理的に存在する商品において、その制約は大きく働いていた。場所が違えば気候は違い、生活習慣が違い、何よりも人々の好みや社会一般に受け入れられやすいものも違う。その為海外進出を図る企業は現地の文化や流行を掴み、商品をローカライズしたり、別のマーケティング戦略を考える必要があった。
しかしメタバースは世界中の人々を同じ仮想空間に入れることで、全く新たなビジネスチャンスを企業にも提供する。全世界の音楽好きの人はバーチャルライブ会場に集まり、全世界のバスケ好きはバーチャルNBA会場に集まる。同じ趣味嗜好の人々が国境を越えて集まることで、企業も地域ごとの傾向などを分析する手間が省け、同じような興味を持つ人々に一度に、ローコストで、物質的制約を無視したプロダクトを提供できる。これは企業、更には個人にとって無限大のビジネスチャンスを提供するだろう。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。