最近の記事では、各国の仮想通貨規制について注目してきました。
アメリカのAmerica COMPETE Act 2022と呼ばれる新たな法案の内容が物議を醸しています。
これまでマネーロンダリング等の犯罪の防止や取り締まりのために、金融機関を通じた取引の監視や金融取引の禁止や口座凍結といった対処を行う権限を持っている米国財務省ですが、今回の法案において、仮想通貨の取引停止や取引規制の権限についての規定や既存の法律の修正が盛り込まれました。
簡単に言えば、米国財務省に対して、犯罪の疑いがある金融取引を規制する権利を与えるという趣旨の法案です。
しかし、注目すべき点は、その権力が具体的にどのように与えられているのかという点です。
実際のところ、これまでは米国財務省が金融機関を通じて、誰かの金融取引を規制・禁止したり、監視するという措置を行うには、世間に対する公示や事前のパブリックコメントといった行政的な手続きが踏まれている必要がありました。さらに、取引停止という措置においても120日までという決められた期間が設けられていました。つまり、米国財務省に金融取引に対する強大な権限を与えながらもそれらの権限が適切に行使されるようなシステムを周辺で整備していたわけです。
しかしながら、今回の法案の内容を見てみると、驚くべきことに気付きます。米国財務省に対して、国内の金融機関・仮想通貨取引所での金融取引の監視・規制・禁止等の措置の権限を与えながら、同時にそれらの規制措置の実行に必要とされていた行政的な手続きが不必要とされているのです。つまり、財務省が何か規制措置を取るにあたっては、事前の公示やパブリックコメント、さらには措置の期間の制限も必ずしも設けられないということになります。
まさに今回の法案は、日本で白紙委任という言葉が存在するように、特に定めや規定の無い、自由で強大な力を米国財務省に与えることを宣言しています。
仮想通貨と国家による規制は、そのバランスが重要であると感じますが、リスクへの懸念を大きく取り上げる傍ら、国家の支配力・コントロールする力が気付けば強大なものになっていたという未来が、世界の国々でみられるかもしれません。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。