クリプト訪ねて三千里:第1343話
タックスヘイブンとは? [ ケイマン諸島 ]

皆さんはタックスヘイブンという言葉をご存じだろうか。日本語では租税回避地等と呼ばれ、税金(tax)避難所(Haven)のことである。タックスヘイブンとは、一般的にどの国でも課されている法人税や所得税、相続税等の税金が0叉は限りなく0に近い国や地域のことを指す。タックスヘイブンは国や地域によって条件等は違うが、共通して税制上の優遇が外国人や法人等に設けられており、文字通り国内で本来収めるべき税金を合法的に回避するために、資産移転することによってこの税制上の優遇措置を受けるために利用されている。

この記事ではタックスヘイブンとして広く知られているケイマン諸島を例に、どのような租税回避が行われているのかを見ていく。

まず、タックスヘイブンを利用して行われる租税回避は合法的である必要がある。違法な方法で国内の税金を回避することは「脱税」にあたる。そのため、まず租税回避と脱税は合法か非合法かという大きな違いがある。

さて、今回紹介するケイマン諸島だが、場所は北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の間にあり、キューバのすぐ左に位置する小さな島国である。ケイマン諸島の特徴としては、個人や法人の所得税や法人税が存在しないことが挙げられる。そして、ケイマンでは法人の設立が数日で終わり、会社も1名の取締役から設立可能なため、会社をケイマン諸島内に置くことも容易である。

会社は子会社をケイマン諸島に設立することにより、収益を直接親会社(主として事業を行う国にある)に送るのではなく、ケイマン諸島の子会社が収益を受け取るようにする。こうした場合、収益に対する課税を受けるのは収益を受け取ったケイマン諸島の子会社となる。なお、ケイマン諸島は、国外で発生した収益に対する法人税が無い。なお、日本ではタックスヘイブン税制という仕組みがあり、日本の会社がタックスヘイブンで税金を回避することを防ごうとしている。これは、実質的活動を友わない外国子会社(ペーパーカンパニー)の所得を、日本の親会社の利益とみなして日本で課税する制度である。これにより、闇雲にケイマン諸島に事業所を設立してそちらに利益を流しても、日本でタックスヘイブン規制法に引っかかって課税されるのがオチである。

会社のほかに、投資信託も租税回避地としてケイマン諸島を多く利用している。まずケイマンで設立されたケイマン籍ファンドは運用方法に規制がないことから、自由な運用方針をとることが可能だ。そして法人税同様、ケイマン籍のファンドが得たキャピタルゲインやインカムゲインに対する税金はない。つまり、ケイマン籍のファンドに入金し、その国内に資金をおいておけば、いつまでたっても利益に対する課税はない。(日本居住者は、外国で得たキャピタルゲインも日本で納税する義務があるため、これを避けるスキームはグレーなものになる。)

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