最近アメリカのニュースでも取り上げられている、とある法案をご存知だろうか。
それが、infrastructure bill という法案である。日本のニュースでは、インフラ投資法案とも呼ばれ
ている。
この法案が物議を醸している理由の一つに、税法の改正がある。(この税法は1984年に発効し
たのだが、今回のインフラ法案における提案の一部としてこの税法の改正が含まれている)
なぜこの税法の改正が注目を浴びているかというと、この改正と仮想通貨取引に強い関連性が
あるからである。
まず、今回の税法の改正が成立すると新たな法律上の義務が生まれることになる。それは、100
万円以上の価値を持つ「digital assets」、つまりは仮想通貨やNFTといったデジタル上の財産を
受け取った場合、取引相手の名前やソーシャルセキュリティーナンバーを政府に報告しなくては
ならないという報告義務である。実際にこれまでは、「現金」で100万円以上を受け取った際に同
様の報告義務が規定されていた。
ではなぜ、この義務がそこまで注目を集めているのだろうか。
その鍵は、仮想通貨取引におけるブロックチェーン技術の特性にある。
まず、従来の人対人の取引においては、基本的に相手の名前や職業といった事項を、調査をす
ることで手に入れることができた。
しかしながら、DEXやDefiを利用した取引においてはどうであろうか。そう、明確な取引相手(送
金主)が存在しないのである。仮想通貨などのdigital assetsを受け取った人から見ると、その送
金元は、スマートコントラクトや取引所という事になる。そして、納税者番号やソーシャルセキュリ
ティナンバー等の情報も入手し得ないのである。
これでは報告すべきとされている情報を政府に報告する事が困難なのである。
この点、報告すべき事項を入手できないとして、税法上の義務を免れるのかという面において議
論の余地が存在している。(ただ、義務を免れることが出来る可能性は低いとされている)
今回の事態はまさに、現代の最新テクノロジーと何十年と存在する法律が適合できずに歯車
がズレ始めている事態を露わにしている。
同時に、新たな法規制・判例が形成される未開拓地の顕現(けんげん)とも言えるものであり、
今後も動向を注目していきたい。
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BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第924話からのターン。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場します!
ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムもあり、アメリカ発の最新情報など絶妙にサンドウィッチされて生きた情報をお届けいたします。
第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。