DeFi (Decentralized Finance)は、ブロックチェーン技術とスマートコントラクト技術を利用した新たな金融サービスである。そしてそれは仮想通貨を投機的な売買での運用や送金から、より複雑な現代社会において利用されている、様々な金融サービスにも利用可能にした革新的なサービスである。仲介者を必要としないそのサービスは、最先端技術を好む仮想通貨ユーザーから注目を集めており、拡大の一途を辿っているが、DeFi市場への参加者が増えるにつれて、その最先端技術の脆弱性が今年になってから露わになってきている。
拡大するDeFi市場
イーサリアムプラットフォームから始まり、現在は多くのブロックチェーン上でスマートコントラクトを基盤技術として成り立っているDeFiプラットフォーム達。市場規模は現在総額1500億ドル(17兆円)と急増している。
DeFiの大きな利点としては、低い手数料やよりスピーディな取引が挙げられる。これはスマートコントラクトのおかげで、従来の金融サービスと違い銀行などといった仲介者が存在しないためである。更に、DeFiプラットフォームに流動性を提供した、お金を貸した側の人にも高い金利が与えられている。その高い金利から、イェールドファーミングや流動性マイニングといった、従来の金融サービスでは存在しない資金の運用方法も誕生した。
実際の市場規模で考えると、日米欧の金融機関での現預金総額が6800兆円であり、DeFiの市場規模はそれの0.1%程度である。しかし、それはこれからのDeFi市場の成長可能性を示しているとも解釈できるのではないか。
脆弱なDeFiプラットフォーム達
その急成長の反面、仮想通貨自体も比較的新しく、更にその上に新しく誕生したDeFiは規制やサービスも発展途上であり、プラットフォームとしての脆弱性は未だ無視できない。
前述の通り、DeFiはスマートコントラクト技術を使用して形成されるサービスで、要はは無人で動き続ける銀行のようなものだ。そのずさんな本人確認や仮想通貨の匿名性の高さから、犯罪組織のマネーロンダリングの温床になっている。
国際組織FATF(金融活動作業部会)などは監視体制の強化を目指しているが、DeFiの性質上、所有者や管理者等の責任主体が曖昧なうえ、既にプログラムされたシステム上で違法行為が起きるため、監視を強化するにも予防措置が施しづらいのが現状である。
DeFiだけに限った話ではないが、技術とサービスの進歩に法整備や規制といった、国家レベルでのシステムづくりが全く追い付いていない現状は大きな問題である。
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現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。