今月の1月26日にメタ(旧Facebook)が開発中のディエム(旧リブラ)が、そのアセットや組織自体の売却に動いていると報道された。これはついにFacebookのステーブルコインに対する野望の終結を意味しているのかもしれない。
メタによって設立されたディエム協会(旧リブラ協会)は、近い将来その活動に終止符を打つかもしれない。フェイスブックと少数の金融機関、ベンチャーキャピタル達主導の下に作られた協会は、「投資家たちから受け取ったお金を返済する手段」としてその技術の売却を検討しているとブルームバーグが報じた。
いかなる形であろうと、協会と技術の売却はディエムもしくはフェイスブックの仮想通貨に対する野望の終焉を意味するだろう。歓声と混乱の中、リブラは様々な法定通貨に結びつけられたステーブルコインとして発表された。そしてそのステーブルコインの構造は、ドルと結び付けられたUSDTやUSDCと違い、真の国際通貨として使われる可能性を秘めていた。
発表から数か月、立法機関や政府からの圧力により多くの有力なリブラ協会のメンバーがプロジェクトから去った。その年の10月には、たった一日でeBay, Stripe, Mastercard, Visaが創設メンバーから辞任するという発表を行った。
その後、同社は方向転換を強いられ、ドルに取って代わるステーブルコインの確立から、ドルをベースとしたステーブルコインへの開発へと変わった。そして現在ではNovi Crypto walletをリリースしているが、それはあくまでPaxos Dollar (USDP)を保有するためのウォレットであり、ディエムに向けたものではない。
仮想通貨やDeFiにとって非常に厳しい2022年となることは明白である。ずさんな本人確認システムによるマネーロンダリングや、スマートコントラクトの性質上の課税の難しさなど、政府にとって問題だらけの仮想通貨業界は規制の格好の的となっている。短期的視点で見れば仮想通貨やブロックチェーン業界の雲行きが怪しくなってきたが、長期的に見ればやはり可能性には満ち溢れているだろう。
ついこの前社名を変え、メタバースへの野望を露わにしたフェイスブックだが、この短期的な規制の波にどう対応しつつメタバースと仮想通貨の世界を創っていくのか、同社の今後の動向には特に注目したい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第924話からのターン。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場します!
ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムもあり、アメリカ発の最新情報など絶妙にサンドウィッチされて生きた情報をお届けいたします。
第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。
~第595話まで
現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。
Comments are closed