エルサルバドル現大統領のナジブ・ブケレは去年9月にビットコインを法定通貨化し、多額のキャッシュをビットコインに投資した。
その1年後の今、その投資は国家と大統領にいまだ利益をもたらしてはいない。額面上では投資元本の61%が消失し、ビットコインは未だ市民に使われてはいない。
そしてエルサルバドルの経済自体の状況も好ましいものではなく、IMFによればエルサルバドルの2023年の経済成長率は1.7%にとどまるとされている。1.7%といえばもはや不景気である。
しかしこのような状況がありながらも、ブケレ大統領が国民から支持をされていないというわけではない。CID Gallupの調査によれば、同大統領はラテンアメリカ圏の指導者の中では、最も高い支持率を誇っているという。
CID Gallupはコスタリカのコンサル会社であり、13のラテンアメリカ国家で合計1200人を対象に調査を実施し、ブケレ大統領は支持率86%でトップに君臨した。ブケレ大統領は、メキシコやアルゼンチンといった、他のラテンアメリカ国家の指導者よりも良い実績を残しているとされた。(調査はラテンアメリカ圏の全国家を対象に行われたわけではない)
この結果は他国家の政治関係者からしてみれば驚くべき結果である。去年エルサルバドル内ではビットコイン法の法制化について、多くの抗議運動が行われ、大統領の権限が協力過ぎるという声も上がっていた。
エルサルバドルのビットコイン法は、企業が技術的設備を備えている場合、ビットコインでの支払いの受け入れを強制する。そして政府は市民にビットコインの利用を促すため、30ドル相当のビットコインを政府発行のデジタルウォレットに配布した。
Decryptが2021年にエルサルバドルを訪れた際は、多くの市民がビットコインに対して無関心であり、企業もビットコイン支払いの受け入れに対して消極的であった。しかし、ブケレ大統領のおかげで、世界でも有数の殺人率を誇る国家は、治安の向上がみられた。今年、胴体量は取り締まりを強化し、既に53,000任を超える犯罪集団のメンバーを投獄している。
この取り締まりの強化は市民から歓迎されているが、同時に人権擁護団体からはこの大規模な動きは刑務所内での治安悪化にもつながるという意見も出されている。
このビットコイン法定通貨化の取り組みは始まったばかりである。今後も、仮想通貨が実経済でどれほど機能できるのか、動向を追っていきたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第924話からのターン。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場します!
ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムもあり、アメリカ発の最新情報など絶妙にサンドウィッチされて生きた情報をお届けいたします。
第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。
~第595話まで
現在の実態経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。
Comments are closed