- フェイクの板情報とは?
暗号資産取引所の注文板(オーダーブック)は、市場参加者が売買を希望する価格と数量をリアルタイムに表示しています。しかし、一部の取引所やマーケットメイカーは、実際に約定する意図がない「フェイクの板情報」を表示している場合があります。これは、取引の状況や市場の印象を操作するために行われることが多く、取引の透明性が損なわれるリスクが伴います。
- 見せ板:フェイクの板情報は、特に「見せ板」と呼ばれる手法で使われることがあります。例えば、大量の買いや売りの注文が板に表示されるものの、実際には約定することがないか、直前でキャンセルされる場合があります。
- フェイクの板の目的:見せ板は、トレーダーの心理に影響を与え、特定の価格帯での売買を誘導するために利用されることが多いです。あるトークンの価格が上がるように見せかけ、実際の需給とは異なる印象を与えることがあります。
- インディカティブプライスの仕組みとリスク
インディカティブプライスとは、正式な価格や約定価格ではなく、市場の流動性や取引傾向を示す参考価格です。多くの場合、取引所や特定のマーケットデータプロバイダーがインディカティブプライスを提供し、市場の大まかな指標として使われます。
- 価格の誤認:インディカティブプライスは、実際の売買注文が行われた価格とは異なるため、これを信じて取引を行うと、期待通りの価格で取引が成立しないことがあります。
- 流動性の見せかけ:インディカティブプライスによって、実際の取引量や価格の動きが誤解されることもあります。インディカティブプライスは、あくまで「参考」であり、実際の注文が成立する価格とは限りません。
- 約定しないケースに注意
取引所によっては、ユーザーが提示した価格で注文が成立しない、あるいは取引がキャンセルされる場合もあります。これは、取引所の仕組みや注文方法によるものですが、意図しない価格での約定や約定の遅延もあり得ます。
- スリッページ:発注時の価格と実際の約定価格が異なる「スリッページ」が発生することがあり、特に流動性が低い場合や急激な価格変動時に起こりやすいです。
- マーケットメイカーの影響:取引所のマーケットメイカーが市場操作を行い、トレーダーの注文が成立しにくくなるケースもあります。このような市場の歪みは、特に注意が必要です。
- フェイク板・インディカティブプライスへの対策
こうしたリスクに対して、トレーダーとしては次のような対策が有効です。
- 複数の取引所で価格を確認する:特定の取引所の価格のみを参考にせず、複数の取引所の価格や流動性をチェックすることで、価格の誤認を避けられます。
- 取引所の透明性を確認する:信頼性が高く、規制当局の監視を受けている取引所を選ぶことが重要です。一部の取引所は、透明性が高く、フェイク板を防ぐ取り組みを行っています。
- インディカティブプライスに依存しない:インディカティブプライスはあくまで参考であり、実際に約定する価格とは異なるため、注意が必要です。正式な注文価格や板情報を確認する習慣を持ちましょう。
- 流動性の低い市場に注意:流動性が低いと、価格操作が行われやすく、フェイク板や約定しない注文が増える傾向があります。流動性が高い取引ペアを選ぶことで、こうしたリスクを回避できます。