FCAS(Fundamental Crypto Asset Score)という謂わば暗号通貨プロジェクトの健全性をスコアリングするFlipside Cryptoを運営しているDave Balter氏は、数々のExit経験がある連続起業家ながら、現在はVenture Capitalist兼、現役のスタートアップ経営者。そんなDaveの取り組み、暗号通貨への見解を語っていただきました。Flipside Cryptoは以前クリプト訪ねて三千里の69話でもご紹介させていただいております!
Flipside Crypto: https://www.flipsidecrypto.com/
Flipside Cryptoとはどんな企業?
Flipside Cryptoは、0-1000(高い方が良い)で暗号通貨プロジェクトを評価するスコアリングを提供しているスタートアップです。
スコアリングを算出するための主な指標は下記の3つ。
・ユーザーの活動状況:トランザクションのボリューム、ノードの活動、スマートコントラクトの引用状況等の実際のユーティリティ。
・デベロッパーの活動状況:GitHubやGitlab、他30種類のプラットフォームにおけるデベロッパーの開発状況。
・マーケットの成熟度:流動性、ボラティリティ、価格の予測値。
上記のようなスコアリングを提供することで、Dencentralizedのエコノミーでは絶対不可欠であるユーザーリテンション等のコミュニティの健全性を分析し、暗号通貨プロジェクトの成長と発展を支援しています。
他の同業他社と比較したFlipside Cryptoの強みとは?
また、Daveは上記の3つの指標を用いる以上に、ビジネス的観点で分析している姿勢、そして誰かがコントロールできてしまう指標を用いない点が他のスコアリング企業との違いだと主張します。特にFlipside Cryptoでは、トークンのリスク(ボラティリティ、流動性、財務の安定性)を重要視しています。というのもの、多くの暗号通貨プロジェクトは自社のトークンをキャッシュのように利用していることがあるため、スタートアップの生命線である資金の増減は、その将来に大きく関わってくるものだと考えているからです。
スコアリングの分野でTwitter等のSNSツールからセンチメントを構築することについては、簡単にアクティビティを増減させることができると一蹴。自社のマルチプル分析に強い自信が伺えました。
スコアリングの展望は?
”クリプト”Startup、Foundationであろうと何であろうと、ビジネスである以上はユーザーというものが存在し、施策の反響はどうだったのか、ユーザーが何を考えているのか、売り上げをどこに分配するのか、何を提供するべきなのか、という点を理解することが必須です。単純にマーケットのアップサイドに頼り、収益を上げるというのは不十分でしょう。スコアリングやIndexは、クリプト企業らが長期的にビジネスとして成功するための指針となると考えていると、Daveは言います。
たしかに、Daveが指摘するように本当の意味でのDecentralizedを語るのであれば、”持続可能性”を考慮に入れる必要があるのはサービス提供者として当然の義務とも言えます。分散的なトークンエコノミーに従来のビジネスモデルの概念が当てはまるのかは不明ですが、少なくともソフトウェアをの研究を推し進めたり、メンテナンスするために収益を得るという考えを意識する必要がありそうです。そのような意味では、Gitcoinが整備している、Open Source Software開発に貢献するデベロッパーに報酬を分配する試みは大変興味深いかもしれません。
アジア市場への見解
現在、Flipside Cryptoの多くの顧客はアジアにいるとDaveは言います。その背景には、各地域の規制状況があり、アメリカは規制が厳しく存分に身動きが取れないところ、アジアでは非常に活発で様々な動きが取れるため、自然とFlipside Cryptoの顧客であるクリプトプロジェクトも多いのだと推察します。Dave自身もアメリカ国外の動きにはアンテナを張っており、特にアジアの動向には注目しているとインタビューで発言していました。
Flipside Cryptoの挑戦
規制への対応は言うまでもありませんが、ビジネスとして継続させる意識がなかった団体を更正させることは大きく、そして大変な挑戦になる、とDaveは言いました。彼はZcashのリワードプログラムの例にも触れ、ビジネス的観点はプロトコル設計にも大きく影響するものだと示唆しました。プログラムを実行したは良いものの、ビジネスとして継続ができないと気づいた際には大きな軌道修正を求められます。Flipside Cryptoのスコアリングはデベロッパーにこそ見て欲しいものだと、Daveは強く主張していました。
何故Flipside Cryptoを始めたのか
Daveはデータを取り扱うスタートアップを幾つも起業、Exitした経験があり、データビジネスは正に彼の十八番であります。そのようなビジネス的知見に長けたDaveだからこそ、まだ未成熟な界隈の先頭に立って”暗闇の中で灯火を照らす”ことが使命なのだと、インタビューで強く語っていました。”ブロックチェーンは世界を変えると信じている。だからこそ、そのデータをしっかりと理解する必要がある”とDaveが繰り返し言うように、現状自分らのネットワークのデータを解析して、開発に活かしているクリプトはまだまだ少ないように見受けられます。プロトコルの仕様を研究している現段階において、データを検証してTweakすることは、優先順位が低くくなりがちなのでしょう。
新しい機能の予定
新しい機能については、公表できないということでしたが、今話題のAlgolandとパートナーシップ関係にあるため、同プラットフォーム上でDapps等を構築した場合は、専用のツールセットで簡単に分析ができるようになっているといいます。
Daveのモチベーションは何なのか
他にやることないし(笑)とお茶らけたDaveですが、”人を助けるのが好きだから”と真剣な表情で次に続けました。クリプトのスタートアップへのスコアリングを行うことで延いては、クリプトに関わる人々の能力を評価するスキルアセスメントツールを提供したいと言います。”何をした”だけでなく、”何をしてどのような成果を得られた”のかまで説明できるツールを用意することで、キャリア構築に役立ててほしいと主張していました。
”未解決の問題を解くのが好き”と最後に締めくくったDaveの動向、Flipside Cryptoの展開については引き続き追っていきます!
あとがき
ちなみに、Flipside Cryptoは、AlgolandへUnion Square Venturesと一緒に出資したことで有名なPillarというVCのオフィスに同居していました!最初にこのロゴを見た瞬間、緊張で体が強張りました。。笑
また、Flipside Cryptoの前にInsurance Tech系のスタートアップともお会いさせていただいたのですが、Daveのことは当然のように知っていて、おそらくBostonの起業家で彼を知らない人はいないのでしょうか。
圧倒的な余裕が滲み出る雰囲気は勿論、インタビューの前後も分刻みで働くDaveを見て非常に刺激を受けました!お忙しい中、インタビューを設置してくれたFlipside CryptoのDaveとKateに感謝します。ありがとうございました!
Interviewee Profile
Dave Balter:CEO of Flipside Crypto
Twitter - https://twitter.com/davebalter
Linkedin ー https://www.linkedin.com/in/davebalter/
Crunchbase - https://www.crunchbase.com/person/dave-balter#section-overview
AngelList - https://angel.co/balter