クリプト訪ねて三千里 第1589話:ZamaとMorpho、機関投資家向け「見えないDeFi」は成立するか

ZamaとMorphoが展開するConfidential Vaultは、残高やポジションを公開せずに既存DeFiの流動性へ接続します。最初のVaultが7週間でTVL4,000万ドルに達した背景から、オンチェーン金融におけるプライバシーの役割を考えます。

DeFiの透明性が機関投資家には弱点になる

パブリックチェーンでは残高やポジション、資金移動を誰でも確認できます。監査可能性という点では強みですが、大口投資家にとっては運用規模や戦略を競合や市場参加者に知られる問題があります。Zamaはこの課題にFHE(完全準同型暗号)を持ち込み、暗号化されたデータを復号せず処理するConfidential DeFiを構築しています。

既存流動性を隠すという設計

ZamaはMorphoと組み、16のConfidential Vaultを展開しています。うち12本は既存Morpho Vaultへの機密性を持った入口で、4本はConfidential専用です。Steakhouse Financial、Wintermute系Armitage、Flowdesk、RockawayX、Bitwiseなどがキュレーターとして参加しています。重要なのは新しいレンディング市場をゼロから作るのではなく、既存戦略と流動性を利用しながら、預入額やポジションを暗号化する点です。

TVL4,000万ドルが示した需要

先行して6月に始まったSteakhouseのUSDC Vaultは、7週間でTVL4,000万ドルまで拡大しました。ZamaはさらにSwap Protocolを組み合わせ、機密資産やVault持分をポジションサイズや取引意図を公開せず交換できる仕組みも整えています。DeFiではこれまで「透明性=信頼」が基本でしたが、機関投資家の参加では必要な情報だけを検証可能にし、運用情報そのものは秘匿する設計が別の価値を持ちます。日本でも金融機関や法人トレジャリーをオンチェーンへ接続する際、利回りだけでなく情報公開範囲をどう設計するかが実装上の重要論点になりそうです。