クリプト訪ねて三千里-第1485話 SOPR(Spent Output Profit Ratio)とは何か:利益確定と損切りを可視化するオンチェーン指標

SOPR(Spent Output Profit Ratio)の仕組みと見方を解説。投資家が利益確定しているのか損切りしているのかを分析し、市場サイクルや投資家行動を読み解く方法を整理します。

現在の暗号資産市場では、ETFフローやデリバティブ市場分析に加え、オンチェーンデータを活用した投資家行動分析が重要視されています。

価格チャートだけでは市場参加者が利益確定しているのか、あるいは損失を抱えながら売却しているのかを把握することは困難です。

そこで活用されるのがSOPR(Spent Output Profit Ratio)です。

SOPRは実際にブロックチェーン上で移動したコインの損益状況を分析する指標であり、市場参加者の心理や市場サイクルを理解する上で重要な役割を果たしています。

本記事ではSOPRの基本概念から実践的な活用方法まで解説します。

SOPRとは何か

SOPR(Spent Output Profit Ratio)とは、移動されたコインが利益状態で売却されたのか、それとも損失状態で売却されたのかを測定するオンチェーン指標です。

簡単に言えば、

  • 利益確定が行われているのか
  • 損切りが行われているのか

を可視化するための指標です。

ビットコインでは各UTXO(未使用トランザクション出力)が最後に移動した価格を追跡できるため、売却時点の損益を推定できます。

SOPRの計算方法

SOPRは以下のように計算されます。

SOPR = 売却時価値 ÷ 取得時価値

例えば、

  • 30,000ドルで取得
  • 45,000ドルで売却

した場合、

SOPR = 45,000 ÷ 30,000 = 1.5

となります。

反対に、

  • 60,000ドルで取得
  • 50,000ドルで売却

した場合、

SOPR = 50,000 ÷ 60,000 = 0.83

となります。

SOPRが示す意味

SOPR > 1

利益状態で売却されています。

市場参加者は平均的に利益確定を行っています。

上昇相場や強気相場でよく観測される状態です。

SOPR = 1

損益分岐点です。

売却者の平均取得価格と市場価格が一致している状態です。

市場構造分析では重要な水準として扱われます。

SOPR < 1

損失状態で売却されています。

投資家が損切りを行っている状態です。

弱気相場やパニック売り局面で観測されることがあります。

なぜSOPR=1が重要なのか

SOPR分析で最も重要なポイントの一つが1.0ラインです。

これは市場参加者全体の損益分岐点を意味します。

上昇トレンドでは、SOPRが1付近まで低下しても再び反発することがあります。

これは多くの投資家が取得価格付近で売却しようとするためです。

一方で、SOPRが継続的に1を下回る場合、市場心理が弱気へ傾いている可能性があります。

SOPRと市場サイクル

SOPRは市場サイクル分析にも活用されます。

強気相場

強気相場では利益確定売りが継続的に発生します。

そのためSOPRは1を上回る状態が続く傾向があります。

市場は利益確定売りを吸収しながら上昇します。

弱気相場

弱気相場では投資家の含み損が増加します。

その結果、SOPRは1を下回る状態が続くことがあります。

これは損切り売りが増加していることを意味します。

Adjusted SOPR(aSOPR)とは

通常のSOPRには短期的なノイズが含まれます。

例えば、

  • 取引所内部移転
  • 短時間のウォレット移動

などです。

そこで利用されるのがAdjusted SOPR(aSOPR)です。

aSOPRは短期間で移動したコインを除外することで、実際の投資家行動をより正確に把握できるよう設計されています。

市場分析ではaSOPRが利用されるケースも多くあります。

Short-Term Holder SOPRとは

近年では短期保有者向けのSOPRも重要視されています。

Short-Term Holder(STH)は一般的に155日未満の保有者を指します。

STH SOPRは短期投資家の利益確定や損切り状況を分析するために利用されます。

例えば、

  • STH SOPR > 1

であれば短期保有者は利益確定を行っています。

反対に、

  • STH SOPR < 1

であれば短期保有者が損失を抱えながら売却している状態です。

市場心理を把握する上で有効な指標です。

Long-Term Holder SOPRとの違い

Long-Term Holder(LTH)は155日以上保有する投資家を指します。

長期保有者は短期投資家よりも売却頻度が低く、市場サイクルの影響を受けにくい傾向があります。

そのため、

  • STH SOPR
  • LTH SOPR

を比較することで、どの層が売却しているのかを分析できます。

MVRVとの組み合わせ

SOPRはMVRVと組み合わせて利用されることが多くあります。

MVRVは市場全体の含み損益を示し、SOPRは実際に利益確定や損切りが行われたかを示します。

例えば、

  • MVRV高水準
  • SOPR高水準

の場合、投資家が利益を実際に確定し始めている可能性があります。

反対に、

  • MVRV低水準
  • SOPR低水準

の場合、市場参加者が損失を確定しながら売却している可能性があります。

他の指標との組み合わせ

SOPR単独ではなく、以下の指標と組み合わせることで市場構造をより深く理解できます。

  • Realized Price
  • MVRV
  • Exchange Reserve
  • Open Interest
  • Funding Rate
  • ETFフロー

オンチェーンデータとデリバティブデータを組み合わせることで、より包括的な需給分析が可能になります。

利用時の注意点

SOPRにもいくつかの限界があります。

主な注意点として、

  • OTC取引は完全には反映されない
  • ETF保有者の行動は直接反映されない
  • 取引所内部移転がノイズになる場合がある
  • 短期的な価格予測には向かない

ことが挙げられます。

そのためSOPRは売買シグナルではなく、市場参加者の行動分析ツールとして利用することが重要です。

まとめ

SOPR(Spent Output Profit Ratio)は、オンチェーン上で実際に移動したコインの損益状況を分析する指標です。

SOPRが1を上回る場合は利益確定、1を下回る場合は損切りが行われていることを示します。

また、STH SOPRやLTH SOPR、MVRVなどと組み合わせることで、どの市場参加者がどのような行動を取っているのかを把握できます。

価格チャートだけでは見えない投資家心理や市場構造を分析するために、SOPRはオンチェーン分析の中核的な指標の一つとして活用されています。