記事を執筆されたMONDAY CAPITALさんの許可を得て翻訳しております。
元記事はこちらです。
What Bitcoin, Ethereum and other digital assets will become
お金は既に電子化されているのに、ブロックチェーンは必要性あるのか、という人々がいます。しかし、よく考えてみると、既存の伝統的な金融システムにおいて、価値の移転は”ほんとうの意味”でデジタルとは言えないのです。
銀行のシステムで表示されるデジタルマネーは真にデジタル化されているとはいえません。その背後にはブロックチェーンで行われるような精巧な価値移転は実行されておらず、デジタルな表示をされているのに過ぎないのです。あなたが送金を行った瞬間に、実物のお金(通貨)がその銀行から他の銀行に送金されているわけではないのです。 (だから効率的なのですが。)そのディスプレイは私達が盲目的に信じている、また実際に真実のようになっているもので、ここではディスプレイ通貨と呼ぶことにしましょう。
何故ディスプレイ通貨が問題なのでしょうか?もう少し掘り下げてみましょう。
既存の伝統的な金融インフラを見てみると、基本的に5つの機関が関わっていることが分かります。
- カスタディー
- 通貨の発行(中央銀行)
- 決済
- 監査
- ガバナンスを行う機関(政府、関係省庁)
ほとんどすべてのトランザクションにおいて、システムを効率的に動かすために、上記の全ての機関がそれぞれの役割をこなすこととなります。
BitcoinもFiatのシステム同様、上記5つの全ての機関(機能)が備わっています。しかし、それは全て同じ一つのコードで管理されているのです。Bitcoinネットワークは決済システム、発行、監査、ガバナンス、カスタディーを1つのネットワークで実行しているのです。
Bitcoinは実際に何を達成しているのか?
Bitcoinが実際に達成しているものは、”本当の意味”での価値の移転です。真に紙からデジタルへと移行させたのです 。あなたがBitcoinを誰かに送金した瞬間、実際の資産を瞬時に送金することが出来るのです。この一連のプロセスには第三者が介在することなく、数学的に処理されるのです。
このコンセプト自体を理解するのは、行数的にも難しいとは思いますが、理解できた方はBitcoinネットワークが既存の伝統的な金融インフラを革新しているのが分かるかと思います。
真の価値に照点が当たらない理由:ノイズの原因
過去数年、私たちはBitcoinが提案した天才的なインフラを作り上げようとする過剰な数のチームを見てきました。
新たなコインを持ち出し、イノベーションを確約していました。しかし、それらのイノベーションは何のためなのでしょうか。
それら数多くのコイン、サービスとの違いは、紙からデジタルへと移行する新しいインフラとなるか、それ以上でも以下でもないのです。
どんなインフラなのか?
上記で言及したように、安全な方法で決済が実行されるためには、幾つかのプロセスが必要となります。
- ガバナンス
- カスタディー
- 発行と分配
- トランザクションの処理
- 監査
Bitcoinが誕生するまでは、それぞれ全てが独立しており、完全に中央集権的でした。
しかし、確認しておきたいのが、デジタル資産を作り出すためには上記の5つ全てを分散型にする必要はないのです。例えば、トランザクション履歴をプライベートにしたい人にとって監査機能はいらない等、様々な用途が考えられるからです。
したがって、現在では、上記の5つのプロセスは3っの状態分類できるといえます。:
- 中央集権的
- 分散的
- それ以外
例えば、中央銀行のネットワークは上記の5つの機能を完全に中央集権的に管理しており、これが中央銀行が発行した通貨(ディスプレイ通貨)を受け取る理由でもあります。
Bitcoinの場合、あなたが受け取るデジタル資産(暗号通貨)も完全に分散型である理由はBitcoinが完全に分散型ネットワークであるからです。
ZCashや Moneroといった匿名通貨と呼ばれるものは、分散型ネットワークではあるものの、トランザクション履歴が追えないため、監査機能が不可能となっています。(これも暗号通貨)
Rippleは中央集権的なガバナンスと発行(チームが両方を管理しています)ですが、他のプロセスは分散的になっています。(中央集権的であるため、暗号通貨とはいえないものの、監査可能なデジタル資産だと定義できます。)
Tetherや GeminiドルはUSDが各トークンごとに準備金としてありますが、特定の機関の管理下にあるため中央集権的です。(暗号通貨ではなく、新しい形態のデジタル資産)
もう一つの障害。
上記で言及したシステムの、相互接続性は依然として課題となっています。
例えば、現在では、ウェブサイトを開くときに、どのブラウザ、デバイスからも開くことが可能です。しかし、Fiatの資産を管理したいときには、口座を持たない限りWells Fargoでは管理できないのです。海外への送金もSwiftを利用しない限りは実行できなません。暗号通貨においても同様で、10種類もの通貨を保有して、それらを他の資産に換金したい場合は第三者のサービスを利用しなければならないのです。(取引所やアトミックスワップ)
現況は各ブラウザを立ち上げて、それぞれで各ウェブサイトを立ち上げなくてはいけないような状況です。
将来的には、ユニバーサルなインフラで金融インターネットのような資産が互いに”喋る”ように連動し合うようなものができると考えます。
OK、でも何でブロックチェーンが必要なのか?
繰り返すようですが、あらゆる資産がデジタル資産になってきています。そしてそれらは、基本的に属するインフラ(決済システム)によって定義(存在を証明)されます。
どうして?なぜならば、会計システムが信頼を獲得するために必要な基本的な機能はセキュリティだからです。そしてブロックチェーンはセキュリティ機能を実現しています。ブロックチェーンは、前提として信頼しあっていない複数のパーティーが、同意を形成できるようなメカニズムによって運営されているからです。価値の移転に必要な、信頼と記録の機能のデジタル化に成功しているのです。
つまり、ブロックチェーンとは通貨ではなく、デジタル資産の状況を同意するものなのです。
デジタル資産の状況の同意を形成するためには、参加者が必要となります。そして、参加者を募るためには、ネットワークに参加するための動機づけ(インセンティブ)が必要となります、つまり通貨で報酬を与えるのです。一から作り上げた新しいコインでも問題ありませんが、このネットワークもしくは既存のネットワークで利用できるものでなければなりません。
ブロックチェーンは、写真を撮影するためのカメラ、釘打ちのためのハンマー、車のためのエンジンのように、ただのシステムのためのツールであることを忘れてはいけません。
新しいデジタル資産の創造
デジタル時代の到来の前には、想像すらできなかったような資産ですよね。デジタル化のおかげで、私たちは今までに存在しなかった資産を実際に創造できる自由を手に入れました。 そしてこの自由は、もう2つの状態である分散型とそれ以外の状態を導入したことで実現しました。(今後はもっとその2つ以外の状態が出現するかもしれません)
結論として、デジタル資産には3つのタイプが存在します。
- ディスプレイ資産
全ては中央集権的に管理されており、実際に価値の移転が起こっているわけではありません。単なる表示のみで、銀行が提示した数字が真実だと信じているだけにすぎないのです - 暗号通貨
インフラレベルで究極的に分散化されたもの。信頼が必要な要素は排除されており、中央集権的な要素はありません。 - ハイブリッドのデジタル資産
インフラの一部は中央集権的で、その他の部分は分散型、もしくは存在しないもの。
デジタル資産はアナログ資産のトークン化とは別のもの。
アナログ資産のトークン化とデジタル資産を混同しないように注意して下さい。これらは完全に異なるものです。
前者は不動産のようなアナログ資産をブロックチェーンを用いて、その権利を自動で管理、追跡するために用いられます。 弁護士を使うのではなく、アナログ資産の権利をトークンという形で発行するのです。家がデジタルになるのではなく、それは依然として現物の家のままです。単に権利のインフラをブロックチェーン技術を用いて自動的に管理しようという話です。
後者の、資産が完全にデジタル化されたもの。例えば、Bitcoinはドル(アナログ資産)がトークンになったものではありません。Bitcoinは独立したデジタルマネーで、アナログ資産とは一線を画します。
結論
上記で述べたように、デジタル資産は各文脈に沿って特定の機能を持ちます。
現在は、私たちが理解できる、知っている資産のアナロジーの沿って”Bitcoinはデジタルゴールド”、”イーサリアムは新しい新しいドル”というふうに考えていますが、両者はもっと壮大なものなのです。
既に紙からデジタルへの移行が徐々に始まっています。それに沿って、全ての資産が”会話”するように相互に連動し合うトラストレスネットワークで、人々のニーズに合ったものを自由に利用することができるインフラが構築されてきています。
結局、その都度どの資産を利用しているのかなんて、私たちは理解できていないのです。 同じように、新しいウェブサイトを開くときに、どのプロトコルで動いているのかなんて気にしません。ブロックチェーンに置き換えて言えば、今はみんなが気にしないような部分をまだ議論してる段階なのです。つまり、これからこの技術が実用化に向けて飛躍していく可能性がある、この技術が秘める潜在可能性は莫大ということです。
したがって、この時代の始まりにいられることは大変幸運なのです。
Art by Billy Clark
いかがだったでしょうか。
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