皆さま、こんにちは。ステーブルコインという言葉を最近よく聞くようになったと思いませんか?直訳すると「安定したコイン」。これまでの仮装通貨はボラティリティが高いということを欠点と捉えるならば、例えば決済や送金といった用途に対しては不向きなのではと散々言われてきました。仮想通貨、ブロックチェーンの特徴でもあると思いますが、XXXで全てを解決する!のようなXXXは存在しないと思います。しかし何かの用途に対しては劇的なソリューションになりうるという可能性を秘めたのこの世界。果たしてこのステーブルコインは何を解決する鍵になるのでしょうか。
ニューヨークのクリプト関連のコミュニティではこのステーブルコインの話題が今年の最初から非常に盛んになってきております。ビットコインの価格が劇的に上がり始めた去年の今頃をなんだか思い出してしまいます。
さて、海外ではすでに注目を集めているステーブルコインのいくつかをご紹介します。
ステーブルコインとは
ステーブルコインとは、「安定した仮想通貨」の総称です。
ビットコインが発明されてから10年、その後次々にイーサリアムなど様々な仮想通貨が作られてきました。仮想通貨が生まれてから10年という期間を経て、認知は高まりつつも、実社会に広く普及していないのが現状です。日本は世界の仮想通貨の1割強を所持する仮想通貨大国ですが、日常的に使用しているという状況ではまだありません。
そもそもなぜ仮想通貨は普及しないのでしょうか。
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- セキュリティへの不安
仮想通貨取引所のZaifがハッキングの被害を受け、約67億円相当の仮想通貨が消失したニュースが記憶に新しいように、中央集権型の取引所は常にセキュリティを破られる危険にさらされています。
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- 価格変動(volatility, ボラティリティ)の不安
日本が世界の約半分を所有していると言われるビットコインの例を見てみると、近年の価格変動がいかに大きいかがおわかりいただけると思います。
2009年に発売されて以降、2013年まではほぼ無価値だったビットコインですが、2016年頃から上昇し始め、昨年は1BTCが一時2万USドルにまで急上昇しました。今年に入ってからは調整色が強く、7,000USドル辺りを推移しています。
Coincheckのハッキングや韓国での仮想通貨取引規制の導入(現在は緩和方向)など、当然のことながら仮想通貨に関連する事件や法規制などで、一夜にして価格が急変動するのが仮想通貨の宿命です。もちろん株式なども同等のリスクを背負っているのですが、この価格変動が著しい、という不安が仮想通貨の一般流通を妨げている大きな原因でしょう。
他にもスケーラビリティ問題や、中央集権型を使用する手数料その他も、一因と言えるでしょう。
なぜステーブルを目指すのか
仮想通貨は、主に物品の購入、送金などの決済手段、投資対象、ICOでの事業資金調達などに使用されています。
いわゆる電子マネーの類だと勘違いされることもありますが、電子マネーはあくまでそのサービスを提供する企業に法定通貨(日本円やUSドルなど中央銀行が発行しているもの)を預け、サービス内のみで決済するシステムです。
仮想通貨の主なメリットは、送金などに手数料が法定通貨に比べて安く、送金処理の時間がかからない点、投資対象として可能性があること、取引履歴がブロックチェーン技術によって改ざんされない、などが挙げられます。
投資目的の場合は、価格変動があるのは利点にもなりますが、それ以外の用途で仮想通貨を使う場合、価格が安定している=ステーブルであることが求められます。法定通貨の代わりに仮想通貨を使おうと思っている人たちにとって、一晩寝て起きたら価値が半減しているスリルなど、誰も求めていないのです。
ステーブルコインは、この仮想通貨の価格変動を解決し、安定した価値の仮想通貨を作り出し、一般のユーザーが実際に利用しやすい通貨になることを目指しています。
ステーブルを実現するアプローチ
仮想通貨の価格変動を安定させ、一定の水準に保つために3つのアプローチがあります。
- 法定通貨担保型
- 仮想通貨担保型
- 無担保型
順番にアプローチ方法、メリット・デメリット、主なプロジェクトを見ていきましょう。
1、法定通貨担保型 (Fiat-collateralized)
その名の通り、USドルや円のように法定で定められた主要な通貨を担保にした交換型です。中央組織が法定通貨を預かり、USドル1ドルに対して1トークン(Stablecocin)を発行します。ステーブルコインからドルに戻したい場合は、所有しているステーブルコインを焼却し、焼却した分量を中央から法定通貨で引き出すことができます。
メリット
単純な仕組みで実装でき、ステーブルコインの価格はペッグされた法定通貨との為替レートを一律に保つことができます。
デメリット
ステーブルコインを発行する第三者を信頼しなければならず、担保が適切に管理されているかを監査する必要があり、監査費用と時間を要する。
プロジェクト例と特徴
テザーはTether社が発行するUSDTというステーブルコインを発行します。
デザーは、Bitfinex, Shapeshift, GoCoinなどと交換できます。
2、仮想通貨担保型(Crypto-collateralized)
仮想通貨を担保にしてステーブルコインを発行します。担保自体が価格の不安定な仮想通貨であることから、ステーブルコインを発行する担保はより多く必要となります。
例えば1ドル分のステーブルコインを発行するには、2ドル分の仮想通貨を担保として預金します。この方法により担保としている仮想通貨の価値が下がったとしても、ステーブルコインには2倍の余裕があることになります。
メリット
法定通貨のように、第三者の信用に基づいた担保に依存しない。
スマートコントラクトで行うことで、担保の管理をする監査を必要としない。
デメリット
資産の倍の担保が必要なので、資産効率が悪い。
価格変動に対するコントロールが必要。
プロジェクト例と特徴
SmartCoinは担保をブロックチェーンに提供します。例えばコントラクトはBitUSD、裏付ける担保はBTS(BitShares)という取引ルールをSmartCoinが提供します。
イーサリアムプラットフォーム上でDaiというステーブルコインを発行するので、ERC20の規格でEtherを担保にステーブルコインを発行します。
3、無担保型(Seignorage Shares)
上記2つとは異なり、資産担保を必要としないステーブルコインの実現を目指しています。中央銀行のようなシステムを設置し、価格が上昇すれば通貨の供給量を減らし、価格が下がれば通貨の供給量を増やすことで、通貨の価値を安定させる、経済界と同じ考え方のアプローチです。
メリット
資産担保の必要がない。
デメリット
仮想通貨の需要が伸びづける前提。
プロジェクト例と特徴
Andreessen Horowitzが出資しているプロジェクトで、「アリゴリズミックな中央銀行による安定した仮想通貨」を目指す、経済の需要と供給の仕組みを適用しています。
USドルと、CPIベースとの為替ルートを一定に保ち、Hedera Hashgraphという新しいコンセンサスアリゴリズムを採用した分散台帳技術を使用して、高速でトランザクションを行えます。
まとめ
Tether、MakerDAO、Baisisなど、すでにいくつかのプロジェクトのステーブルコインは生まれてきていますが、どれもまだ研究段階であり、実際にステーブルな通貨となるのは数年先だと思われます。しかし理論的には仮想通貨が一般流通するにはこのステップは避けて通れない感があります。
海外ではこれらのプロジェクトに大きな期待と資金が集まっており、今後の研究開発に注目です。
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