さて、今回も前回に続いてタックスヘイブンを紹介していくが、今回はEUによって公式に発表されているタックスヘイブンのブラックリストに記載されているタックスヘイブンを扱っていく。以前紹介したケイマンやBVIは、このブラックリストには載っていない。
このブラックリストは、2017年12月に発表されたのち、何度かアップデートされている。ケイマン諸島は2020年2月にリストに追加され、同年10月にリストから削除された。BVIは一度もリストに追加されていない。
現在、リストは次の12か国によって構成されている。
US領サモア、アンギラ、バハマ、フィジー、グアム、パラオ、パナマ、サモア、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、US領バージン諸島、バヌアツ
そして驚くべきことに、リストの3分の2がアメリカ叉はイギリスと深い関係を持っている。
イギリス:タークス・カイコス(海外領土)、アンギラ(イギリス領)バハマ, フィジー, トリニダード・トバゴ(イギリス連邦加盟国)、
アメリカ:US領サモア, US領バージン諸島(自治領)グアム(米国準州)
そして今回は、パナマ文書でも有名なパナマの仕組みをみていく。パナマは、北アメリカ大陸と南アメリカをつなぐ陸地であり、国際貿易の要所であるパナマ運河が通っている。パナマは外国での活動を主とするオフショアカンパニー/投資家に対して、所得税、法人税、キャピタルゲイン税、相続税を課していない。しかし、これは前述のとおり外国での活動が主である場合であり、現地でビジネスを行った場合は税金を納める必要がある。
そして、パナマがタックスヘイブンとして好まれるもう一つの理由が、高い機密性である。オフショアカンパニーや信託、財団の設立に関する書類には、機密性を担保する非常に厳しい法律が制定されている。機密漏洩の場合には刑事罰まであるほどだ。さらに、銀行取引に関する機密性も高い。パナマの銀行は、裁判所からの指示があった場合を除き、オフショアカンパニーの口座とその保有者に関する情報の一切の共有を禁止されている。この高い機密性が、多くの会社や富裕層の資産を隠すのに最適な環境を提供している。
これまでは、タックスヘイブンと呼ばれる国々を紹介してきたが、では実際に大企業や富裕層はこれをどう活用して節税を行っているのだろうか?次回は、実際のケースを解説しながら、タックスヘイブンの活用方法について紹介していく。
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