クリプト訪ねて三千里 第1562話:Solanaのアプリ収益が1.43億ドルに拡大、Ethereumとの差をRevenueから読み解く

Solana上のアプリ収益は8月に1.43億ドルへ拡大した。だが収益の大半は一部の取引系アプリに集中する。Revenue、DEX出来高、ステーブルコイン供給を分解し、Ethereumとの単純比較では見えないオンチェーン経済の収益構造と日本への示唆を読む。

TVLだけではオンチェーン経済の強さを測れない

DeFiを比較するとき、長く中心指標だったのがTVL(Total Value Locked)だ。しかしTVLは資本がどれだけ置かれているかを示す一方、その資本が実際にどれだけ取引され、手数料を生み、アプリ事業者の収益になっているかまでは分からない。

8月、Solana上のアプリケーションが生み出したRevenueは約1億4,323万ドルとなり、全チェーンで集計された約3億7,553万ドルの38.1%を占めた。Ethereumは約4,710万ドルだった。ここでいうApp Revenueはバリデータが受け取るネットワーク手数料ではなく、DEX、ウォレット、取引ツール、ローンチパッドなどのアプリ側に残る収益を指す。

収益を生んでいるのはどのアプリか

内訳を見ると特徴がはっきりする。Pump.funが約5,820万ドル、Axiomが約2,400万ドル、FOMOが約1,460万ドル、Collector Cryptが約970万ドル、Phantomが約660万ドル、Jupiterが約620万ドルだった。

上位6サービスだけで約1億1,900万ドルとなり、全体の8割超を占める。つまり高いRevenueは幅広いDeFi利用だけでなく、トークン発行や高回転のオンチェーン取引、トレーディングツールへの強い需要によって形成されている。

この集中度は重要だ。収益総額だけを見ると経済圏全体が均等に成長しているように見えるが、実際には一部アプリの利用動向が全体を大きく左右する。

取引量とドル流動性が収益を支える

8月には約52億件のnon-vote transactionも記録された。これはバリデータ投票を除いた取引件数で、ユーザーによる送金、Swap、Mintなどの活動を見る指標になる。

もう一つ確認したいのがStablecoin Supplyだ。9月初めのSolana上のステーブルコイン残高は約146億ドルで、その中でもUSDCの存在感が大きい。Circleは8月中にSolanaで約110億ドル相当のUSDCをMintしている。ただしMint額は総流入額ではなく、Burnも存在するため、供給残高の増加額と同一視してはいけない。

Revenueを見る際は、App Revenue、DEX Volume、Stablecoin Supply、non-vote transactionを組み合わせるとよい。収益、資本回転、決済原資、利用頻度を別々に確認できるからだ。

Ethereumとの比較には注意が必要

チェーン単位の数字だけで優劣を決めるのも危険である。EthereumではBase、Arbitrum、OptimismなどL2へアプリと取引が分散している。一方、Solanaは多くの活動が単一のL1上に集約される。

そのためSolana対Ethereum L1という比較は有用だが、「Solana経済圏対Ethereum経済圏」と完全に同じ意味ではない。Revenueの集計単位を確認することが必要になる。

日本から見るべきポイント

日本のWeb3事業者にとって重要なのは、ユーザー数やTVLだけでなく、オンチェーンサービスが実際に収益化できているかという視点だ。低い取引コストと高い利用頻度が組み合わされれば、ウォレットやアグリゲーターのようなフロントエンドも金融インフラとして収益を持てる。

一方、収益が特定の投機的ユースケースへ集中している場合、その持続性は別途検証する必要がある。Japan Entryを考える海外事業者についても、TVLや利用者数だけでなく、Revenueの発生源と継続性まで見ることが重要になる。

まとめ

8月のデータが示しているのは、Solanaに大量の資本が置かれているという事実だけではない。資金が高速に回転し、その活動をアプリ事業者が収益化している点に特徴がある。一方で収益は一部サービスに集中しており、Ethereumとの比較にもL2分散という構造差がある。オンチェーン経済を評価するには、TVLからRevenue、取引量、ステーブルコイン供給まで観測対象を広げる必要がある。