2021年、シンガポールは資産運用業界をさらに発展させるために、新たなファンド形態を立ち上げた。その名も”Variable Capital Companies”(VCC / 変動型資本企業)である。本稿では、このVCCの特徴をいくつか紹介していく。
このシンガポール政府公認のVCCは会社型のファンドで、ファンド自身が株式及び債券などの発行が可能である。このような会社型のファンドは、モーリシャスやアイルランド、ケイマンなどでもみられる。
まず、VCCのもっとも大きな特徴ともいえるのが、アンブレラ型ファンドの設立ができることである。つまり、メインファンドを立ち上げ、その下にサブファンドという形で複数のファンドをより簡単に設立できる。
そして、ファンドの株式名簿や財務諸表は存在するものの、それが上場企業のように公開されることがない。よってVCC自体や、それに投資する投資家に関する情報の機密性が高いことも特徴である。
そして、もう一つの特徴は、投資家へ配当を出す際、VCCは利益以外の部分から配当を出すことが可能だ。つまり、たとえその年の運用成績が好ましくなかったとしても、VCCファンドは既存のキャッシュなどから配当を出すことが可能だ。これは、ファンドにとって非常に多くの柔軟性をもたらしてくれる。
次週は、このVCCを利用すると実際にどのようなメリットが生まれるのかを見ていきたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
BlockRabbit『クリプト訪ねて三千里』とは。
第1338話から。執筆者の事業展開を定期的にご報告します。DAO「分散型自律組織:ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織」の考えの下、金融、ウェルスマネジメント、暗号資産、DeFi、NFTのビジネスのネタをお届けします。独創性あふれる生きた情報をお届けいたします。コラボ歓迎!!執筆者への個別メッセージも可能です。どの執筆者宛かを記載し、内容とともにhello@blockrabbit.ioに直接コンタクトを下さい。*フォーム問い合わせでもリーチ可能です。
第924話~第1337話まで。暗号資産、DeFi、NFTに感化された新進気鋭の若手が定期的に登場!ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムもあり、アメリカ発の最新情報など絶妙な情報をお伝えしてきました。
第596話~第923話まで、バトンタッチを受けたcryptoトレーダーは、DeFiとは何ぞや?ユーザー目線でコツコツ嚙み砕いていくコラムを書いていきました。
第1話~第595話まで
現在の実体経済からは少し離れたところに、もう1つの経済圏がブロックチェーンによって興ると考えるShoが、その興隆を追っていくために毎日1社ずつ界隈のプロダクトを紹介していく超短編気まぐれ日刊コラムであり、メディア記事も幾つかピックアップしてお届けしておりました。
- クリプト訪ねて三千里:第1357話
シンガポールの新ファンド形態VCC - 3月 5, 2023 - クリプト訪ねて三千里:第1354話
再保険 Reinsurance とは - 2月 26, 2023 - クリプト訪ねて三千里:第1352話
タックスヘイブンとは? [ 最終回 / Google編 ] - 2月 23, 2023