Solanaのリキッドステーキング基盤SanctumがTVLで存在感を高めています。LSTごとに分断されやすい流動性を共有基盤へ集約する仕組みと、ステーキング資本がDeFiエコシステムの中核へ移る構造的な意味を整理します。
Solanaで資本の置き場所が変化している
SolanaのDeFiでは、DEXやレンディングだけでなく、ステーキングされたSOLを流動化するインフラの存在感が高まっています。その象徴がSanctumです。
2026年8月28日時点の報道では、Sanctumを通じて約1,800万SOLがステークされ、TVLは約19億ドル規模に達しました。DeFiLlamaでも足元のTVLは約18.7億ドルとなっており、Solana上で最大級のプロトコルに成長しています。
重要なのは単純なTVLランキングではありません。Solana上の資本が、取引のための流動性だけでなく、ステーキング収益を維持しながらDeFiでも利用できる資産へ移行している点です。
LSTの課題は流動性の分断にある
LSTとはLiquid Staking Tokenの略で、ステーキングされた資産を表現するトークンです。SOLをステークしながら、その価値を表すLSTをDeFiで利用できるため、資本効率を高められます。
ただしLSTが増えるほど別の問題が発生します。それぞれのLSTに独立した流動性プールを用意すると、資本が細かく分断されるからです。
利用者が少ないLSTではスプレッドや価格インパクトが大きくなり、発行主体も十分な流動性を維持するための資本を必要とします。LSTの種類が増えるほど、この問題は深刻になります。
Sanctumが解決しようとしているのは、この流動性の断片化です。
Infinityが共有流動性レイヤーになる
Sanctumの中核の一つがInfinityです。複数のLSTを共通の流動性基盤へ集約し、LST間の交換を効率化する仕組みを提供しています。
これによって、新しいLSTの発行者がゼロから大規模な流動性を構築する必要性を抑えられます。実際、SanctumのインフラはJupiterのjupSOLやBybitのbbSOLなど複数のLSTに利用されています。
構造的には、個別のLSTそのものよりも、その下に存在する流動性レイヤーへネットワーク効果が生まれる可能性があります。
LSTが増えるほど交換需要が増え、共有流動性の価値が高まり、さらに新しいLSTが参加しやすくなるという循環です。
TVLだけではプロトコル価値を判断できない
一方で、TVLの増加をそのまま収益性の向上と解釈するのは注意が必要です。
Sanctumは2026年第2四半期にSOL建てTVLを1,664万SOLまで伸ばしましたが、同期間のドル建て収益は前四半期比で減少したと報告されています。つまり、預かる資産の規模とプロトコルが獲得する収益は必ずしも比例しません。
DeFiプロトコルを見る際には、TVLだけでなく、手数料、プロトコル収益、利用者数、資本回転率、インセンティブ依存度などを分けて確認する必要があります。
特にステーキング系では、長期保有される資産がTVLを押し上げやすいため、DEXのような取引型プロトコルと単純比較することはできません。
Solana DeFiの競争軸は資本効率へ
Sanctumの拡大は、Solana DeFiの競争が単純なDEX出来高やTVLランキングから、資本をどれだけ再利用できるかという段階へ進んでいることを示しています。
SOLをステークするだけなら資産はネットワークセキュリティに参加します。LST化すれば、そのポジションを保ったままレンディング、流動性供給、担保などへ利用できます。
そのためLSTインフラは、ステーキングとDeFiを接続する資本効率のレイヤーとして評価する必要があります。
今後を見るうえでは、SanctumのTVLだけでなく、LSTの種類、Infinityの利用量、担保としての採用、他のDeFiプロトコルとの統合が重要な指標になります。
まとめ
Sanctumの成長で注目すべきなのは、単にSolana上で大きなTVLを獲得したことではありません。LSTごとに分断されやすい流動性を共有インフラへ集約し、ステーキングされたSOLをDeFiで再利用しやすくする構造にあります。
Solana上でLSTが増え続ければ、競争の中心は個々のステーキング商品だけでなく、それらを接続する流動性レイヤーへ移る可能性があります。DeFiを分析する際にも、TVLの大きさだけではなく、資本がどのように接続され、再利用されているかを見ることが重要です。








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