2019年4月23~24日開催 Blockchain講義 at 茨城大学レポート

みなさんこんにちは!Block Rabbit編集部です。

前回1月に引き続き、茨城大学日立キャンパスにてLittle Monster Inc.が特別ゲストを海外から迎え、ブロックチェーンの講義を行いました。今回はギリシャで教鞭を取っている教授2名が来日し、2日間に渡って、実際の暗号通貨の送受信や、マイニングプロセスの実践等を通じた、体感型のブロックチェーンの講義を行いました。

1月に行われた茨城大学での講義の様子は前回のレポートをご覧下さい。
[Little Monster Inc. × Monday Capital] 2019年1月10日開催 第1回目Blockchain講義 at 茨城大学レポート

 

今回の記事では、講義の内容は概要部分だけご紹介し、「なぜギリシャから彼らがわざわざ日本に来日したのか?」や、「実際に講義の前後で学生側にはどんな変化があったのか?」についてのインタビュー結果に焦点を当ててお伝えすることで、少しでも皆さんがブロックチェーンを知りたいと思うきっかけになれば幸いです!

 

1、特別講師のご紹介

George Papageorgiou

2014年から、ニコジア大学の修士課程の学生に対して、ファイナンシャルシステムや開発途上国とデジタル通貨の2つの分野でのMOOC(Massive Open Online Course, 大規模公開オンライン講義)の講師を担当。尚、キプロスの大学で初めて大学院生向けにブロックチェーン専攻を構築後、アメリカ合衆国、ギリシャ、キプロスのビットコインカンファレンスでプレゼンテーションを行い、キプロスやギリシャのテレビにビットコインのコメンテーターとして出演する傍ら、ドローン、政界の領域にも熱心に取り組まれている。

Konstantinos Sgantzos
理論物理学、生化学、生命情報科学の修士課程を卒業し、現在は、AI・ブロックチェーンの研究者兼講師として活躍中。現在は、インターネットを超える、ブロックチェーンという技術が作り出す未来の可能性を信じ、論文を執筆中。

2、講義内容紹介

講義は2日間に渡って行われました。1日目は、ブロックチェーンの革新性(公共性・開放性・自由)や、暗号技術等のブロックチェーンを支える技術について講義を行い、2日目には、ブロックチェーンを使った暗号通貨のトランザクション(取引)を実際にウォレットを通じて体験しました。

 

暗号通貨トランザクションアクティビティ

各列の先頭に座っている学生にまず、ある程度の額の暗号通貨を講師から送金し、リレーの様に後ろへ続けて学生から学生へと送金をしていくアクティビティー。

3、来日理由と日本での講義を終えて(インタビュー)

「ギリシャから茨城大学日立キャンパスに足を運んだのはなぜか?」

講義を終えて、講師のお二人の来日理由についてお聞きしました。

 

BlockRabbit編集部: 日本に来ることを決めた理由について教えてください!

George :正直に言うと、Little Monster Inc. の皆さんに誘われた事がきっかけでしたが、最終的に日本に来ることを決意したのは、それだけ日本に来ることに価値があると考えたからです。日本には、成長企業が多く存在することに加え、今後世界を牽引するポテンシャルのある人材に、教育という観点から投資をすることで世の中に大きなインパクトを起こすことができると考え、来日を決めましたね。

 

BlockRabbit編集部:講義を受講した学生や、その他日本人学生に期待することは何ですか?

George :もっと多くの研究をして欲しいです。それは必ずしも、ブロックチェーンやビットコインに関するものでなくても構いません。ブロックチェーンという新たな領域への理解を深め、現在研究している分野との繋がりを発見することや、新しい気づきを得ることで、より発想が豊かになり、枠に囚われない考え方を身につけてもらいたかったというのが本当の狙いでした。ゆくゆくは、スタートアップを立ち上げ、新たなプロダクトを創り上げたり、企業に就職し、商品の価値を再定義し、社会的なインパクトをより高めていってほしいとそう願っています。

 

BlockRabbit編集部:実際に日本の大学生に教えてみて、ギリシャの大学生との違いは感じましたか?

Konstantinos :感じましたね。講義の後に何名かの学生との食事会があったのですが、そこで学生と会話をしていく中で明らかな違いを発見しました。

BlockRabbit編集部:気になります、どんな違いだったんですか?

Konstantinos :もちろん、話をしている中で感じたことなので、一般論として当てはまるかはわかりませんが、日本では大学内の学生の優秀さに大きなずれがないような印象を受けましたね。要するに、みんな平均的に良い成績を取っているということです。一方でギリシャではできる人できない人の差が激しいのが違いだと感じました。その分ギリシャでは、トップの1割はアカデミックな領域を極め、その他はビジネスのフィールドで実績やスキルを磨いていくような役割分担が生まれています。日本では、みんな平均的に成績が良いので、多様性が生まれず、分野を超えた新しい発想や、そこから生まれるイノベーションが少ないのかもしれないなと感じました。

 

BlockRabbit編集部:そうなんですね、そんな日本の大学生に期待することはなんですか?

Konstantinos :一方で、Georgeも言っていましたが、日本には成長企業が多く存在し、勤勉な日本人の皆さんはポテンシャルに溢れていると思っています。私からは、少し遠い未来のお話になってしまうのですが、インターネットの時代から、ブロックチェーンの時代へとシフトチェンジを起こしてほしいです。ブロックチェーンという新たな仕組みを使えば、昨今問題として取り上げられている個人情報等の保護など、あらゆる情報を安全に管理することができます。一方で、まだまだ研究は始まったばかりで、世界でもCambrige大学、Nicogia大学しか講義を開始していないのが現状です。しかし、Nicogia大学の授業は、オンラインでも受講することができるので、是非これから皆さん自身が次世代を担う主体として未来を切り開いていってほしいとそう願っています。

 

4、茨城大学生の講義受講前後の変化について(インタビュー)

教授のお二方のお話は、なかなか壮大で、日本人への大きな期待値を持っていただいていることに対して、私としては嬉しさ半分、危機感半分という感情を抱きました。実際に講義に参加された学生はどのようなことを感じたのでしょうか。

 

【Aさん 大学院一年生 理工学研究科 機械システム工学専攻 研究分野データサイエンス(統計学 機械学)】

BlockRabbit編集部:参加前はブロックチェーンについて知っていましたか?

Aさん:そうですね、実は別の授業で、ブロックチェーンの講義があったので、ある程度大雑把には理解していました。後は、今日の講義があるので一応本も事前に読んでみました。

 

BlockRabbit編集部:素晴らしいですね!ありがとうございます。実際に講義を受けてみていかがでしたか?

Aさん:今回の講義を通じて、将来のイメージが湧きました。これまでは、身近にブロックチェーンの技術を生かした、ビットコインのようなツールを利用したことはなかったのですが、今回Centbeeという暗号通貨を送受信できるアプリを通じて、実際に送り合ってみると、「ああこんなに簡単にお金送れちゃうんだ」みたいなことを思いましたね。逆に、たまに送れないようなトラブルがあって、そこは課題だと感じました。

BlockRabbit編集部:それは良かったです。でも確かに課題は残っていますね。ちなみに、今後もブロックチェーンの勉強は続けようと思いますか?

Aさん:正直研究分野が決まっているので、いまの段階では研究レベルでは勉強はしないです。最新の技術って、世に出る前は乗っかるのが怖いというか、危険な部分もあるのかなあと思ってしまいます。というのもあって、世に出た後に使おうと言うくらいに今は思っていますね。

 

BlockRabbit編集部:正直なご意見ありがとうございます。では質問を変えて、今後ブロックチェーンを広めていきたいと思いますか?

Aさん:専門家から講義を受け、最先端な仕組みがあることを身を以て体験できる人ってレアだと思うので、今後知人に広めていきたいとは思っています。

 

【Bさん:大学院一年生 理工学研究科 機械システム工学専攻 研究分野データサイエンス(統計学 機械学)】

BlockRabbit編集部:参加前はブロックチェーンはご存知でしたか?

Bさん:実は僕は、以前Monday Capitalさんの講義に参加していたので、ある程度概論的なことは知っていました。

 

BlockRabbit編集部 : 再びご参加いただきありがとうございます!今回はいかがでしたか?

Bさん:今回はより実践的な授業という印象を受けました。暗号通貨の送受信に加えて、実際にコーディングもして、より身近にブロックチェーンを感じることができました。

BlockRabbit編集部:今後もブロックチェーンを勉強しようと思いますか?

Bさん:僕はエンジニアの道へ進むので、ブロックチェーンについて研究を深められればいいなと思っています。こういった新しい技術は、講義内で実際に触れたブロックチェーン上で写真を共有するツールのBitstagramみたいに、アイデア勝負で新しい商品を生み出していくみたいなところもあるので、より創造的な視点でこれから思考を巡らせていきたいなと思います。後は、Bitstagramは、写真撮りたいと言う人にも広められるので、簡単に勧められそうだなあと思います。

 

5、最後に

今回の二日間の講義では、ブロックチェーンの基礎をまず学び、そして実際にブロックチェーン、暗号通貨に触れる実体験をしました。聞くだけではやはり学生も飽きてしまいます。今回の講義では “楽しみながら学ぶ” という事が実現できた場だったと思います。一方で、たった二日間の合計180分の時間で、ブロックチェーンを完璧に習得することは不可能だと思っています。この “楽しさ” がきっかけとなり、更に深くブロックチェーンに関して関心を持ってくれる人が増えてくれれば幸いです。

また、インターネットが普及し、個人情報の保護に関する意識が強まっていることや、グローバル化による国家という枠組みに囚われない交流の活発化が予想されることから、ブロックチェーンという、国家の枠組みを超え、簡単にかつ安全に通貨や情報の取引ができる仕組みがこれからの世の中で普及していくことは目に見えています。現に、講師のお二方がおっしゃる通り、世界の名だたる大学や大手企業では、研究や講義、開発が進められています。とはいえ、現状では完備されたコースはありませんし、テクノロジーは日々アップデートされています。自ら情報元を探し、学んでいくことが大切です。

 

「最新を熟知し、未来に備える」

無知であることほど、怖いものはありません。必ずしも、全員がブロックチェーンのエキスパートになる必要はありませんが、少なくとも、知らないことによって周囲から騙されないように、最低限の知識を得ることはもちろんの事、ギリシャからわざわざ来日し、ポテンシャルを信じてもらえている私たち日本人が、今後の世の中を支えていくのだというくらいの気概を持ち、若者の力を見せてきたいですね。

 

最後までお読み頂きありがとうございました!
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