KaikoがCanton NetworkのEVM実行環境Zenithへ機関投資家向けオラクルを導入しました。Solidityと規制対応データを組み合わせ、既存DeFiの開発環境と機関金融インフラを接続する構造を読み解きます。
機関金融のネットワークにSolidityが入ってくる
Canton NetworkのEVM実行環境Zenithで、KaikoのData On-Rampオラクルがテストネット稼働を開始しました。Zenithは既存のSolidityアプリケーションをCantonのプライバシーや決済基盤へ接続する環境です。ここに価格データが加わることで、レンディング、担保管理、トークン化資産などをEVMの開発手法で構築するための部品が揃い始めています。
オラクルにも「規制対応」が求められる
Kaikoが提供するのは暗号資産価格だけではありません。伝統金融商品を含む複数資産のデータやBMR準拠の参照レートを扱い、データ利用権限や監査証跡も設計されています。オラクルとは外部データをスマートコントラクトへ渡す仕組みですが、RWAでは価格の正確性だけでなく、誰がデータを利用できるか、出所を追跡できるかも重要です。request-response型とpull型の双方を用意し、Solidityから直接利用できる構成です。
Web3の開発者層と機関流動性をつなぐ
Kaikoによると、Cantonは2026年第1四半期に9兆ドルの取引量と8,120万件のトランザクションを記録し、780超の機関参加者を抱えています。一方、ZenithはEVM互換性によってEthereum側の開発者資産を持ち込みます。今回の意味は新しいオラクルが一つ増えたことより、TradFiのデータ、Cantonの決済・プライバシー、EVMのアプリケーション開発を同じスタックへ近づけた点にあります。日本の金融機関がRWAを展開する場合も、独自チェーンを一から構築するより、既存の開発標準と規制対応インフラをどう組み合わせるかが重要になってきます。







