クリプト訪ねて三千里:第1360話クリプト系銀行の連鎖破綻

シリコンバレー銀行とシルバーゲート銀行の破綻は様々な理由が述べられています。私は一つのsimpleな回答を導きました。それは銀行の取り付け騒ぎです。

まず、FTXの破綻が発端となります。FTXの前身であるアラメダ・リサーチは金融分野における天才集団で、暗号資産市場の特に先物市場において、かなりの活躍を見せていました。FTXそのものが新興の暗号資産取引所ですが、勢いもありトップクラスに躍り出たことも記憶に新しいです。FTXが日本に進出したのもありましたね。

しかし、無謀にもリスクを取り過ぎていたことや、DefiやNFTブームが過ぎ去ったことでマーケットが崩れ始めたことで、ずさんな経営が明るみになりました。リスクを取り過ぎていたのです。

崩壊はあっという間です。あるべきものがないわけですから、取引先であるシルバーゲート銀行は最も驚きました。

 

シルバーゲート銀行は、地方銀行でしたがいち早く暗号資産業界のリーディング銀行となるべく革新的な取り組みを開始していました。私も実は現地に訪問したこともあり、日本の暗号資産取引所も決済銀行として使っているところもあります。関連の業者がシルバーゲート銀行をハブに暗号資産と法定通貨の決済をするのです。これはSEN(the Silvergate Exchange Network)と呼ばれていて、このネットワークに接続できていないともぐりだと言われていました。

 

FTXの事件もありますが、実は背後の米国の急激な金利上昇が大きな理由に挙げられます。

 

シルバーゲート銀行は銀行です。そのため、顧客から預かった資産を米国債で運用するのですが、金利が急に上がると国債の価値が下がり、流動性確保のために損失を覚悟で国債を売らなければいけません。いわゆるキャッシュフローが大事なのです。

 

シルバーゲート銀行は早期に動いたために、預金保護制度を使わずに顧客資金を守ることができました。この失敗は、暗号資産業界というリスクを取る一方で、守るべき背後では国債で運用しなければならないという制度的な困難があったのです。しかし、まだシルバーゲート銀行はよかったかもしれません。同じく、革新的な銀行が破綻したことで、ユーザーの銀行に対する連想が始まりました。

 

これが取り付け騒ぎです。確かにマーケットの状況は金利上昇という悪い局面です。何事もなければショックを吸収することができたのですが、恐怖を抱いた顧客が資金確保に乗り出しました。その波を防ぐ手立てはなく、急激にシリコンバレー銀行のバランスシートが悪化したのです。幕切れはあっけなく、事業をストップせざるをえませんでした。同行は総資産2090億ドル(約28兆円)の全米16位の中堅銀行。米メディアによると、2008年のリーマン・ショック後の銀行破綻ケースとしては最大規模。シルバーゲート銀行は80億ドル規模でしたからざっと見積もって25倍の規模です。

 

ドルステーブルコインを手掛けるCircle社がシリコンバレー銀行にUSDCの預託金を置いていたことから、さらに連鎖が始まりそうでした。

 

今、危険なのがクリプト友好な銀行のSignature 銀行です。こちらはシルバーゲート銀行の10倍ほどの規模ですが、ここが破綻した場合は暗号資産業界はゲームオーバーです。つまり、かなり切羽詰まった状況だと考えられます。※3月13日早朝に破綻の報道がなされた。

 

Subprime Mortgage Crisisと同等の危険が高まっています。今、慎重になり過ぎてもいいかもしれません。資産を守れるのは自分だけです。過度なリスクを取らないようにしましょう。

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