仮想通貨

地球の力でマイニング〜アイスランドが示す仮想通貨の未来〜

アイスランドと聞いてまず何が頭に思い浮かびますか?ちなみに私はビョークと温泉(笑)です。この北欧の島国は火山や間欠泉、温泉、巨大氷河といった圧倒的な自然で知られ、観光にも力を入れていますね。ちなみに、乳青色をした世界最大級の露天風呂ブルーラグーンは、地熱発電で温められた海水を再利用しているそうです。

アイスランドは80年代から再生可能エネルギー発電への切り替えを進め、現在、電力供給の約80%を水力、約20%を地熱から得ており、火力や電子力には一切頼らないエネルギー政策の先進国でもあるのです。つまり、大自然の魅力だけでなく、その「力」が半端ない。今回は、そんなクリーンでグリーンなエネルギーに仮想通貨マイニング業者の熱い視線が集まっているというお話です。

仮想通貨革命は地球にやさしくない?

2月2日付のDigital Trendsによると、巨大仮想通貨マイニング業者が、グリーンエネルギーを求めてアイスランドを選んだ。今や誰もが仮想通貨革命の一翼を担いたがっているが、これは必ずしも地球にとって良いことではない。Digiconomistの記事によると、ビットコインネットワークひとつとっても、ブルガリア一国の総電力消費量を上回っているそうだ。だから仮想通貨のマイニングにおいても、環境に優しく持続可能な方法を模索することが今後は何より重要となる。

ロンドンと南アフリカ共和国をベースにしたMoonlite Projectが、ビットコインやビットコインキャッシュ、ダッシュ、ライトコインといった仮想通貨の工業規模なマイニング用データセンターをアイスランドに建設すると発表。4月に施工開始で、8月にオープンの予定だという。事業目的のひとつは、もちろん世界最大規模の仮想通貨マイニング組織となることだが、それをすべて低コストかつ持続可能なグリーンエネルギーのみで成し遂げるという使命を掲げている。

創始者兼CEOのEric Krige氏はDigital Trendsに対し、「私たちのデータセンターは100%再生可能・持続可能なエネルギー、つまり水力や風力、地熱を利用します」と断言した。加えてアイスランドの寒冷な気候により、冷房設備を設置する必要がないという利点まである。

アイスランドの自然パワーは約4年前に注目されていた

実はアイスランドの自然パワーは4年ほど前から仮想通貨界に注目されていた。2008年のリーマンショックの打撃をもろに受け、事実上デフォルト状態に陥ったアイスランド。昨年2月14日付のThe Balanceは、こうした金融危機に直面した小さな北欧の島国が、分散型ブロックチェーンの新テクノリジーやビットコインといった仮想通貨の未来にオープンなのも納得だとしている。昨年の時点でアイスランドはすでに、ビットコインマイニング事業の最大拠点のひとつになっていた。

それにさかのぼること3年の2013年12月、ニューヨークタイムズはビットコインマイニング業者たちがアイスランドに魅了されていると報じている。「鍵のかかったキャビネット内で、北極圏の冷風に冷却された100台以上のシルバーコンピュータが仮想鉱山の労働者だ。 オープンソースのビットコインプログラムを動かすカスタムメイドのマシンは、1日24時間複雑なアルゴリズムを実行し、仮想通貨の分散型ネットワークから25の新しいビットコインブロックを獲得しようとしている。」

記事はビットコインを大規模にマイニングしようとすれば、必要とされる電力が収益性の高さを決める要因であることを指摘しつつ、アイスランドでビットコインのゴールドラッシュが起きているのは、「地熱および水力エネルギーが豊富かつ安い」からだとしている。そのうえ、冷房施設のいらない気候と大西洋の両側にデータケーブルがつながっている「スイートスポット」なのだ。しかも、地方なら土地もまだまだ豊富にあいているため、いくらでも施設を拡大してゆける(そしてやっぱり安い)。

Moonlite Projectは毎月800万ドルの発掘を目指す

話は戻ってMoonlite Projectだが、先述のKrige氏は環境にやさしい自然な冷房・発電パワーの活用にとどまらず、人工知能やカスタム化されたアルゴリズムを含むスマートテクノロジーを用いて、マイナー管理を行う予定だそうだ。当初のキャパは15メガワットで、そこからさらにレベルを上げていく予定だという。毎月約800万ドル相当のマイニングを目指す。確かに持続可能なエネルギーの使用と仮想通貨での大儲けは共存してもいいはずだ。中国政府が近頃マイニング施設の閉鎖を命じたことから、たとえばビットコインマイニング集団で第4位のViaBTCテクノロジーは、アイスランドと米国に事業を移した。マイニングの相対的収益性を鑑みて、電気代の補助や安い国への移動は今後も続くだろう。(1月11日付Bloomberg Technology参照)

ニューヨーク州では水力発電でマイニング事業を誘致

2月6日付のBitcoin.com「これまで成長し続けてきたビットコインマイニング・パイを一切れほしいニューヨーク州」によると、タイトル通り、カナダ国境にある製鉄業の衰退した町Massenaへのマイニング業者誘致に、ニューヨーク州が乗り出した。

New York Power Authorityは1年以内に契約を承認するまで、新しいビットコインマイニングのベンチャー企業Coinmint, the North Country Data Center Corp (NCDC)
に対し、水力発電1万5000キロワットの配分を承認。 現在ビットコインマイニング施設を他の町で運営しているCoinmintは、仮想通貨市場が世界規模で成長し続けることを見越し、第2の施設の建設先を探していた。

提案書によると、この電力配分で少なくとも1億6500万ドル分の設備投資がまかなわれ、地域に150の雇用を生み出すという。最大で18万の特別ビットコインマイニングシステムが2年以内に導入・運営される予定で、最終的には世界の仮想通貨ビジネスの15%を取り扱うことをNCDCは期待している。

地元テレビの報道によると、Massenaに決めた理由は、やはり安くて信頼できる電力だった。New York Power Authorityは水力発電の価値を利用して、地元経済の復興を目指していた。期待される150の新たな雇用には、警備員やITテクニシャン、電気技工士、運営スタッフなどが含まれ、平均年収は4万6000ドルという。

Massenaはカナダ国境のすぐ南に位置するニューヨーク州の小さな町。カナダはこれまで、寒冷な気候と安い水力発電で、中国の主なビットコインマイニング事業者を引きつけていた。ほぼ同じ条件を有する北部ニューヨーク州も、この流れに乗らない手はないということのようだ。